SGLT2 阻害薬とは?5つの効果・副作用と正しい使い方を医師が解説
「SGLT2阻害薬とは、どのような薬なの?」
「血糖値を下げるだけでなく、体重や腎臓にも効果があるの?」
「副作用や正しい使い方について知りたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
SGLT2阻害薬は、腎臓でブドウ糖が再吸収されるのを抑え、尿中へ糖を排泄することで血糖値を下げる薬です。体重減少や血圧への影響がみられるほか、薬剤によっては慢性心不全や慢性腎臓病の治療にも用いられています。
本記事では、SGLT2阻害薬の作用機序や5つの効果、種類ごとの違い、副作用、正しい使い方について詳しく解説します。また、ダイエット目的で使用する場合の注意点や、医療ダイエットにおける治療の考え方についても紹介します。
目次
SGLT2阻害薬とは?作用機序や特徴を解説
SGLT2阻害薬は、主に糖尿病の治療に用いられてきた経口薬です。近年では、薬剤によって慢性心不全や慢性腎臓病に対する治療にも使用されています。
SGLT2阻害薬はどのような薬?
SGLT2は「ナトリウム・グルコース共輸送体2」と呼ばれるタンパク質で、腎臓の近位尿細管に存在しています。血液中のブドウ糖は腎臓で一度ろ過されますが、通常はSGLT2によって再び体内へ取り込まれます。
SGLT2阻害薬は、この再吸収を抑えることでブドウ糖を尿と一緒に体外へ排出し、血糖値を低下させます。日本糖尿病学会でも、SGLT2阻害薬は2型糖尿病に用いられる経口血糖降下薬の一つとして位置づけられています。
SGLT2阻害薬の作用機序
SGLT2阻害薬を使用すると、腎臓でのブドウ糖の再吸収が抑えられ、尿中へ排泄されるブドウ糖が増加します。
その結果、血液中のブドウ糖が減少し、血糖値の改善につながります。また、尿中へ糖を排泄する際には水分も一緒に排出されるため、体液量や血圧にも影響を与えることがあります。
SGLT2阻害薬はどのような病気に使われる?
SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の治療薬として広く使用されています。
さらに、薬剤によっては慢性心不全や慢性腎臓病に対する適応を持つものもあります。例えば、エンパグリフロジンを成分とするジャディアンスや、ダパグリフロジンを成分とするフォシーガは、2型糖尿病に加えて慢性心不全・慢性腎臓病の治療にも使用されています。
ただし、すべてのSGLT2阻害薬が同じ適応を持つわけではありません。薬剤ごとに承認されている効能・効果が異なるため、使用する薬について医師や薬剤師に確認することが大切です。
SGLT2阻害薬の5つの効果
血糖値を下げる効果
SGLT2阻害薬の代表的な作用が、血糖値を下げる効果です。
腎臓で再吸収されるブドウ糖を尿中へ排泄することで、血液中のブドウ糖を減らします。インスリンの分泌を直接促進する薬ではないため、単独で使用した場合には低血糖が比較的起こりにくいとされています。
ただし、インスリンやスルホニル尿素薬などと併用する場合には、低血糖への注意が必要です。
体重減少が期待できる
SGLT2阻害薬では、尿中にブドウ糖を排泄することによってエネルギーが体外へ失われるため、体重が減少する作用が期待されます。
日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」でも、SGLT2阻害薬は体重を減少させる作用があるとされています。
ただし、体重減少の程度には個人差があり、SGLT2阻害薬だけで大幅な減量を目指すものではありません。
血圧の低下が期待できる
SGLT2阻害薬では、尿中への糖やナトリウムの排泄が増えることで、体液量に影響を与え、血圧が低下することがあります。
日本糖尿病学会のガイドラインでも、SGLT2阻害薬は血圧や脂質代謝に好影響を与える場合があるとされています。
ただし、血圧を下げることを目的として、すべてのSGLT2阻害薬を使用するわけではありません。治療目的に応じた薬剤選択が必要です。
心不全に対する効果が期待される
一部のSGLT2阻害薬は、慢性心不全の治療に用いられています。
SGLT2阻害による利尿作用や体液量への影響などが、心臓への負担軽減につながると考えられています。実際に、エンパグリフロジンやダパグリフロジンには慢性心不全の適応があります。
なお、心不全の治療で使用する場合も、薬剤ごとの適応や患者さんの状態を踏まえて医師が判断します。
腎機能を保護する効果が期待される
SGLT2阻害薬は、腎臓にも作用します。SGLT2を阻害すると尿細管へ届くナトリウム量などが変化し、糸球体内圧を低下させることなどを通じて、腎臓への負担を軽減すると考えられています。
日本腎臓学会では、SGLT2阻害薬を慢性腎臓病の治療に活用するためのRecommendationを公表しています。また、現在では糖尿病を合併していない慢性腎臓病にも使用可能なSGLT2阻害薬があります。
SGLT2阻害薬の副作用・注意点
脱水や口渇
SGLT2阻害薬を使用すると、尿中へ糖とともに水分も排泄されるため、脱水につながることがあります。
口渇、多尿、頻尿、血圧低下などがみられる場合には、脱水に注意が必要です。特に高齢者や利尿薬を併用している方などは、より注意して使用する必要があります。
尿路感染症・性器感染症
尿中の糖が増えることで、尿路感染症や性器感染症が起こりやすくなることがあります。
排尿時の痛みや頻尿、発熱、外陰部のかゆみなど、感染を疑う症状がみられた場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。
低血糖に注意が必要なケース
SGLT2阻害薬単独では、低血糖のリスクは比較的低いとされています。
しかし、インスリンやスルホニル尿素薬など、血糖値を下げる作用の強い薬と併用する場合には、低血糖に注意が必要です。日本糖尿病学会も、これらの薬剤とSGLT2阻害薬を併用する際には、低血糖への十分な注意と用量調整を推奨しています。
正常血糖ケトアシドーシスなどの重篤な副作用
SGLT2阻害薬では、血糖値がそれほど高くないにもかかわらず、ケトアシドーシスを起こす「正常血糖ケトアシドーシス」に注意が必要です。
強い倦怠感、吐き気、嘔吐、腹痛などがある場合には、血糖値だけで判断せず、速やかに医療機関へ相談する必要があります。日本糖尿病学会も、SGLT2阻害薬使用中にこのような症状がある場合は、ケトアシドーシスの可能性を考慮するよう注意喚起しています。

SGLT2阻害薬の正しい使い方
服用方法と服用時の注意点
SGLT2阻害薬は経口薬で、多くの製剤が1日1回の服用となっています。ただし、具体的な服用方法や用量は薬剤によって異なるため、処方された薬の添付文書や医師の指示に従う必要があります。
体調がよくなったからといって自己判断で中止したり、効果が弱いからといって増量したりすることは避けましょう。
水分補給を意識する
SGLT2阻害薬では尿量が増えるため、脱水を防ぐことが重要です。
特に暑い時期や、発熱・下痢・嘔吐などによって水分を失っているときには注意が必要です。日本糖尿病学会も、SGLT2阻害薬を使用する患者に対して脱水防止について十分に対策するよう推奨しています。
手術や絶食の前に医師へ相談する
手術を受ける予定がある場合や、検査などで絶食が必要になる場合には、事前にSGLT2阻害薬を服用していることを医療機関へ伝えることが大切です。
日本糖尿病学会では、予定手術の場合、術前3日前から休薬し、食事が十分に摂れるようになってから再開することが推奨されています。
SGLT2阻害薬はダイエット目的で使用できる?
SGLT2阻害薬では体重減少が期待されるため、「ダイエット目的で使いたい」と考える方もいるでしょう。
しかし、SGLT2阻害薬は基本的に糖尿病や、薬剤によっては心不全・慢性腎臓病などの治療に用いる医療用医薬品です。一般的なダイエットを目的として自己判断で使用するものではありません。
SGLT2阻害薬による体重減少の仕組み
SGLT2阻害薬を使用すると、尿中へブドウ糖が排泄されます。
ブドウ糖はエネルギー源でもあるため、その一部が体外へ排出されることによって、体重減少につながると考えられています。日本糖尿病学会のガイドラインでも、SGLT2阻害薬による尿中ブドウ糖排泄の増加によって体重が減少するとされています。
ダイエット目的で使用する場合の注意点
体重が減る可能性があるからといって、SGLT2阻害薬をダイエット目的で安易に使用することは避ける必要があります。
脱水や感染症、低血糖、ケトアシドーシスなどのリスクがあるためです。特に極端な糖質制限や食事量の低下が重なると、ケトアシドーシスのリスクが高まる可能性があります。
自己判断で使用せず医師に相談する
SGLT2阻害薬は、持病や腎機能、併用薬などによって使用の可否や適切な薬剤が変わります。
「痩せたい」という理由だけで自己判断して入手・服用するのではなく、医療機関で自分の状態について相談したうえで、適切な治療方法を検討することが大切です。
SGLT2阻害薬の特徴を理解して正しく使用しよう
SGLT2阻害薬は、腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑え、尿中へ糖を排泄することで血糖値を下げる薬です。
血糖値の改善だけでなく、体重減少や血圧への好影響が期待されるほか、薬剤によっては慢性心不全や慢性腎臓病の治療にも使用されています。
SGLT2阻害薬は効果と副作用を理解したうえで使用することが大切
SGLT2阻害薬はさまざまなメリットが期待できる一方、脱水や尿路・性器感染症、低血糖、正常血糖ケトアシドーシスなどに注意が必要です。
特に発熱、下痢、嘔吐などで食事や水分を十分に摂れない場合や、手術・絶食を予定している場合には、休薬などの対応が必要になることがあります。
この記事の監修医師

- 経歴
- 平成12年
東邦大学医学部卒業
東邦大学形成外科学教室入局
平成15年
大手美容形成外科入職
平成20年
京都分院長に就任
平成27年
ゴリラクリニック総院長就任 - 所属学会
- 日本形成外科学会
日本美容外科学会(JSAPS)




