「若い頃と比べて痩せなくなった」
「メタボ健診で毎年ひっかかる」
「血圧や血糖が高くなってきて医者から注意された」
思い当たる節がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
50~60代の男性は、若い頃と比べると150キロカロリーほど基礎代謝が落ちることが知られています。つまり「おにぎり1個弱」を余計に食べているようなもの(おにぎりのカロリーを179キロカロリーとして計算)。
体重を落とす必要があるのに、おにぎりを余計に食べていたら痩せられないことが容易に想像できると思います。
この世代は習慣的に有酸素運動を行っている人は少数派。運動と言えばせいぜいゴルフ程度の方が多いのでは。これでは体重が増加し、だらしのない体になるだけではなく生活習慣病まっしぐらです。
今回は「50代男性が健康的であり続けるためのダイエット方法」を紹介いたしますので、是非参考にしてみて下さい。
この記事の監修医師ゴリラクリニック総院長 稲見 文彦
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経歴
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2000年東邦大学医学部卒業
東邦大学形成学科学科学教室入局
2003年大手美容形成外科入職
2008年京都分院長に就任
2015年ゴリラクリニック総院長就任
- 所属学会
- 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
目次
50代男性ダイエットを成功させる2つのポイント
50代男性がダイエットを成功させるためには、2つのポイントを押さえておく必要があります。
POINT
・持続可能な方法を行う
・目標は「体重減少」ではなく「生活改善」
食事を減らしたり運動をしたりすることがダイエットの鉄則なのは間違いありません。しかし大切なのは「続けること」と「目標を体重減少にしないこと」だと私は考えています。以下で説明していきます。
持続可能な方法で行う
最近流行のダイエット法といえば「糖質制限ダイエット」でしょう。確かに過剰な糖質摂取は体重増加の原因のひとつです(そもそも現代人は糖質を摂りすぎています)。白米やパンなどを食べないダイエット法が効果的であることは確実でしょう。
しかし、白米やパンを食べない生活をいつまで続けるのでしょうか。「金輪際、二度と口にしない」と誓いを立てることは極めて難しいでしょうし、再び白米を摂るようになれば体重は元に戻ってしまうと考えられます。
50代男性のダイエットに必要なのは「続けられる方法で行う」ことです。10年、20年と継続できるものを考えましょう。
腹八分を守る、22時を過ぎたら食べない、野菜を多く摂る、肉より魚を摂る等、これらの方法は目新しさも派手さもありませんが、継続可能でリバウンドも防ぐことができます。60代、70代になっても続けることができればダイエット法としては大成功と言えるでしょう。
運動についても同様です。トレーニングジムに通い筋肉バキバキの身体を作ったとしても、鍛えるのを止めた瞬間から身体は元に戻ろうとします。
身体を鍛えるのが趣味、なのであれば良いでしょうが「ダイエットのためにジムに通う」のはお勧めできません。継続可能な有酸素運動(ウォーキングやサイクリング)と続けやすい筋肉トレーニング(体幹トレーニングなど)をメインに組み立てるのが50代男性にお勧めのダイエット法です。
目標はあくまで「生活改善」
先ほど少し述べましたが、ダイエットつまり体重減少のために食事制限や有酸素運動を始めた方はだいたい失敗します。
なぜなら目標体重に達したら「ああ、これで辛いダイエットはおしまいだ」と元の生活に戻ってしまうからです。それどころか辛いダイエットがトラウマとなり、元の体重以上に太ってしまったとしても再びダイエットに取りかかることがなくなってしまいます。
ダイエット成功の秘訣は、禅問答のようですが「痩せようと思わないこと」だと私は思います。痩せることは結果であり、目標としてはいけません。
早寝早起きを心がけ、無駄食いをせず、間食と美食を控え、運動習慣を身に付ける。そのような生活を獲得できれば、おのずとスリムな体が手に入るはずです。
50代男性がダイエットを成功させるための食事
食事について様々な説が飛び交っていますが、基本的には3回食をお勧めします。1日の摂取カロリーを3回に分けて摂るのですが、その際の注意点をご紹介します。
ドリンクや間食は賢く選ぶ
コーヒー飲料や清涼飲料水は少量で高カロリーなものが多いため、表記に気をつけて購入することをお勧めします。
例えば某社のクリーミーラテは174kcal、ノンシュガーは33kcalです。約140kcalの差ですが、2か月も蓄積されれば脂肪が1kg以上も増える計算になります。
アルコールについてもビールや甘口のワインは糖分を多く含み、摂取量によっては太りやすいと言われています。糖質オフや糖質ゼロの製品を選ぶと良いでしょう。最近流行の地ビールも、スタウト(黒ビール)はカロリーが高いので要注意です。
甘いものが食べたくなったとき、コンビニでスイーツなどを購入することもあるでしょう。そんなときも寒天デザートやカットフルーツ、ヨーグルトなどを活用することをお勧めします。とにかく、口にするものを選ぶ際は「低カロリーで満足できるものは何か」と考える癖をつけると良いですね。
(参考:日本食品標準成分表 文部科学省作成)
外食を極める
朝は忙しくパンとコーヒーだけ。昼はコンビニ弁当、夜は深夜まで空いているラーメン店で済ませる。そんな生活から脱却するには「外食をうまく活用する」ことが重要です。
コンビニ弁当の中には「肉と白米だけ」のような栄養バランスの悪いものが多いですが、単品の総菜を組み合わせることで理想的な食事を摂ることも可能です。玄米おにぎりに筑前煮、食後にはカットフルーツなどを摂れば完璧でしょう。
深夜になると空いている店も少なく、ラーメン店に引き寄せられる気持ちも分かります。ここで居酒屋を活用してみてはいかがでしょうか。
最近の居酒屋はお1人様用の席も用意されていることが多く、注文もタブレットで可能です。ご飯と豚汁、焼き魚などの「一汁三菜」が手軽に摂れるのは魅力的です。ついアルコールを頼みたくなりますが、飲みすぎには注意しましょう。
5色の食べ物を摂るようにする
5色の食べ物とは「赤・白・緑・黄・黒」の色の食材を摂るようにするという健康法です。
赤はニンジンやパプリカ、肉類など。白は大根や豆腐、玉ねぎ、白身魚など。緑は小松菜、ピーマン、ホウレンソウなど。黄はかぼちゃ、オレンジ、納豆など。黒は豆、昆布、しいたけなど。
これらを毎度の食事に取り入れることで、バランスの良い食生活を送ることができます。毎食達成することは難しいかもしれませんが、このような意識を持って食事を考えることは持続可能かつ健康的な生活を獲得するために重要です。
GORILLA TOPICS
良質なタンパク質をしっかりと摂りましょう。豚肉はビタミンBが豊富で疲労回復効果があります。鶏肉はササミや胸肉を積極的に選んでみましょう。大豆タンパクも良いですね。
後述しますが、年齢を重ねると筋肉量が衰えていきます。適度な筋肉トレーニングとタンパク質摂取をセットで行うようにしましょう。
50代男性がダイエットを成功させるための運動
ここまで、50代男性がダイエットを成功させるために必要なことを解説してきました。持続可能な方法を選択すること、生活を変える意識を持つことが大切です。具体的な食事改善のアドバイスをご紹介してきましたが、最後に「運動」について説明していきます。
基本的には有酸素運動と筋肉トレーニングを行うのですが、ここでも重要なのは「持続可能な方法を選ぶ」ということです。
運動が大して好きじゃない、身体を動かすのは苦手、そんな人がスポーツジムに通って一時痩せたとしても、ジム通いが続くはずがありません。辞めた途端にリバウンドすることは火を見るよりも明らかです。
そこで、運動が苦手な方でも比較的ラクで続けやすい運動と、続けるためのコツをご紹介します。
サイクリングが最強である
有酸素運動といえばウォーキングやジョギングが挙げられますが、膝が痛くなったり靴擦れができたりしてドロップアウトしてしまった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
手軽かつ有効な有酸素運動として私がお勧めするのがサイクリングです。膝への負担は非常に軽く、かつ大腿四頭筋という大きな筋肉を使用することで基礎代謝アップを狙えます。
1時間のランニングはハードですが、1時間のサイクリングは比較的楽に行えます。自転車通勤を行えば「運動する時間が足りなくて…」と言い訳する必要もなくなります。
腹筋よりも体幹トレーニング
いわゆる「フッキン」は腹直筋の激しい筋肉痛を起こすだけでなく、場合によっては首や腰を痛めます。通販で買えるような機器に頼るのも悪くはないですが、効果が乏しかったり意外と痛かったりするものです。
「フッキン」に比べて体幹トレーニング(プランクなど)は筋肉痛や腰痛を起こしにくく、かつ腹部周りを効果的に引き締める方法で、50代の男性が続けるには最適な方法と考えられます。
まず、動いてみる
大脳の中にある側坐核は「やる気スイッチ」として有名です。このやる気スイッチを刺激するためには「まず身体を動かすこと」が重要とされています。
つまり「やる気がないから動けない」のではなく「動けばやる気が出る」のです。今日は運動するのが面倒くさいな、と感じた時こそ「まず立ち上がってみる」ことをお勧めします。立ち上げることでスイッチが入れば、あとは楽に運動を始めることができるはずです。
無理をしない
まず動け、と言っておいて矛盾するようですが「無理は禁物」なのも事実です。体調が悪くて1週間ほど運動をサボったとしても、ダイエットが台無しになったわけではありません。自分のペースでまた再開すれば良いのです。
50代男性が無理なく痩せるための医療痩身
ここまで、50代男性が続けられる食事制限や運動について説明してきました。運動については医師としてお手伝いできることはあまりありません(故障した時以外は)。
しかし食事制限や皮下脂肪の減量であれば「医療痩身」という形でサポートすることも可能です。
医療痩身やメディカルダイエットとも呼ばれます。内服薬や注射によって食欲を減らし、摂取カロリーを抑え体重減少をもたらす方法や、医療機器によって皮下脂肪を燃焼または凍結させ、脂肪細胞を体外に排出させる方法などが挙げられます。
エビデンスに基づく治療効果が期待できる一方、副作用を起こす可能性もあるので医師の診察・指導が必要です。
かつては脂肪吸引のような侵襲的治療が主でしたが、最近は「痛みが少ない、傷が残らない」などの特徴がある非侵襲的治療が登場し普及しています。以下にそれらを列挙します。
50代男性ダイエットのまとめ
50代男性が健康であり続けるためのダイエット法を説明してきました。基礎代謝が若い頃より落ちていること、またこの先も落ちていくことを把握することが重要です。
そのためには持続可能な食事制限法と運動法を検討しなければなりません。近年、医療痩身という選択肢が登場し注目されています。健康であるために健康診断を受けるように、健康的なダイエットを続けるためにクリニックを受診してみるのも良いと思います。
参考:
日本食品標準成分表 文部科学省
食材5色バランス健康法® 杉本恵子
この記事の監修医師ゴリラクリニック総院長 稲見 文彦
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経歴
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2000年東邦大学医学部卒業
東邦大学形成学科学科学教室入局
2003年大手美容形成外科入職
2008年京都分院長に就任
2015年ゴリラクリニック総院長就任
- 所属学会
- 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)