最近、新たなダイエット方法として医療痩身に注目が集まっています。痩身エステに比べ医学的根拠に基づいた治療であり、また従来の方法に比べると低リスクな施術であることがその理由です。
最新機器は厚生労働省の認可を得ているものもあり、高い効果が出せることも医療痩身の特徴です。
興味はあるけれどもどこで施術を受けられるのか、どんな施術をしてくれるのか分からないという男性も多いのではないでしょうか。また、医療痩身と痩身エステの違いも気になるところです。
本記事では医療痩身とは何であるか、また種類や効果、エステとの違いなどにも触れながら詳しく解説していきます。
この記事の監修医師ゴリラクリニック総院長 稲見 文彦
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経歴
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2000年東邦大学医学部卒業
東邦大学形成学科学科学教室入局
2003年大手美容形成外科入職
2008年京都分院長に就任
2015年ゴリラクリニック総院長就任
- 所属学会
- 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
医療痩身とは
医療痩身とは何か、ここで定義しておきましょう。
・クリニックで行う
・医療従事者が施術を行う
・注射や内服薬、医療機器、手術などを用いる
このような条件を満たす方法が医療痩身と言えます。つまり、医師やメディカルスタッフが携わり、体脂肪を医学的根拠に基づき減少させていくダイエット法です。
体重減少を目的とした治療(食事療法や運動療法、薬物療法など)と、部分痩せを目的とした治療(脂肪吸引や脂肪溶解注射、痩身機器)を区別して、後者を医療痩身と定義している医師もおられるようです。
私は前者も併せて「広義の医療痩身」と捉えるべきではないか、そのように考えています。
医療痩身と痩身エステの違い
医療痩身と比べ世間一般に馴染みがあり、またよく比較されるのが「痩身エステ」でしょう。
どちらも名前に「痩身」と付いていますが、どのような違いがあるのでしょうか。以下の表で比較してみましょう。
厚生労働省やFDAなどに承認された機器・薬剤を用いることができるのが医療痩身であり、マッサージやサプリメント、医薬部外品に使用が限られるのが痩身エステです。医療痩身と痩身エステにはこのような大きな違いがあります。特に施術内容が最も異なる部分です。
逆説的に言えば、痩身エステの施術はローリターンであるが故にローリスクです。
よって特別な資格を持たない人であっても一定のトレーニングを受ければ施術を担当できます。一方、医療痩身はハイリターン。その代わり、ある程度のリスクを伴います。
それに対応するために医療従事者でなければ施術を行えないのですね。
POINT
・痩身エステと医療痩身は施術内容が大きく異なる。
・医療痩身を行えるのは医療従事者のみ。
医療痩身の種類
前述のとおり、医療痩身には体重減少を目的としたものと、部分痩せを目的としたもの(狭義の医療痩身)の2種類があります。それぞれ説明していきます。
<医療痩身の代表的施術>
体重減少を目的としたもの
・食事療法
・運動療法
・内服療法(マジンドールやオルリスタットなど)
・食欲抑制注射(GLP-1など)
・減量手術(スリーブ状胃切除術、スリーブ・バイパス術など)
部分痩せを目的としたもの
・脂肪吸引
・脂肪溶解注射(フォスファチジルコリンなど)
・痩身機器(クールスカルプティング®など)
それぞれの施術の内容や効果について、特に内服療法・食欲抑制注射・痩身機器に焦点を当てて詳しく解説していきます。
内服療法による痩身
食欲抑制剤(マジンドールなど)や脂肪吸収阻害剤(オルリスタットなど)を用いた内服薬による痩身治療は、以前より盛んに行われていました。
マジンドールは中枢神経に作用して食欲を抑える効果があるため、摂取カロリーを容易に減らすことができます。
一方、依存性があるため長期間の服用はできません。また、うつ症状などの副作用が出ることもあり注意が必要です。
オルリスタットは腸管での脂肪吸収を抑制し、便と一緒に脂肪分を排出させる働きがあります。脂肪分は言うまでもなく高カロリーなため、比較的楽に摂取カロリー制限が可能です。
ただし便意がコントロールしにくくなり便失禁(脂肪便の漏出)を起こすことがあるのが難点です。
食欲抑制注射による痩身
GLP-1製剤(サクセンダ®やビクトーザ®)はインスリン分泌を促し血糖を下げる効果があります。その他、消化管や中枢神経に働きかけ、胃の蠕動運動を遅らせたり食欲を抑えたりする作用があります。
これによってカロリー制限を無理なく可能にし、体脂肪量を減少させていくのが食欲抑制注射による痩身治療です。
GLP-1製剤は自己注射を行う必要がありますが、使用する針は極細であるため痛みはほとんどありません。胃もたれ感などの副作用を伴いますが次第に減少することが大半です。
しかし「注射したから何を食べても痩せる」のではなく、「注射をした結果、食欲が抑えられ食事量が減った結果痩せる」ということを心に留めておきましょう。
食欲抑制剤による痩身治療は、食事療法や運動療法を強力にサポートする方法とお考え下さい。
GUIDE
GLP-1製剤の一種、サクセンダ®はアメリカやEUの28か国、韓国などで安全性が保障され広く用いられています。
痩身機器を用いた施術
40年前、部分痩せを可能とするのは除脂術という大手術だけでした。傷も大きく合併症も非常に多い、非常に大変な治療であったため施術を受けられるのはごく一部の人だけだったようです。
1980年代になって脂肪吸引が登場して以来、現在に至るまで様々な工夫がなされ「部分痩せといえば脂肪吸引」という時代が30年以上続きました。
除脂術に比べると傷は小さく合併症も少ない、かつ確実に部分痩せが可能な方法でしたが、術者の技術力に結果が左右されたり稀に重大な合併症をきたすようなリスクを伴う方法です。
さて、近年は複数の痩身機器が開発され、脂肪吸引に変わるブレイクスルーなダイエット法として注目されています。
非外科的で非侵襲的な方法は全世界的にもニーズが高く、特に美容整形手術に未だ抵抗がある日本人にとっては待望の方法と言えます。
傷はまったく残らず、短時間で終わり、また合併症も非常に少ない、まさに夢のような方法ですが様々な機器があるため「本当に効果があるのはどれか?」と悩むことも少なくありません。
痩身機器には以下のようなデバイスを用いたものがあります。
□ レーザー
□ 高周波
□ 超音波
□ 冷却
□ 電磁波
POINT
過去の痩身治療は傷が残ったり重大な合併症を伴ったりするリスクがあった。
痩身機器は非侵襲的な新しいダイエット方法であり、リスクは格段に減少した。
医療痩身の効果とは
医療痩身が優れている点は、内臓脂肪や皮下脂肪に直接的にアプローチし、不可逆的な変化を起こし治療効果が長く続くこと。
エステサロンで行われる痩身エステとは根本的に異なるダイエット法です。
では、具体的にはどのような効果が期待できるのでしょうか。
脂肪が減りにくい箇所の部分痩せが可能
食事制限や適度な運動を心がけ、BMI的には十分に痩せているのに局所の皮下脂肪がなかなか減らない。特に下腹部や側腹部、二の腕、太腿内側などにそのような傾向があります。
脂肪吸引や痩身機器はこのような部位の脂肪にアプローチし、物理的に脂肪量を減少させることが可能です。これがいわゆる「部分痩せ」です。
元に戻らない、戻りにくい
痩身エステは各種の施術により痩せやすい身体を作りますが、あくまで自主的な食事制限や有酸素運動などに結果が左右されます。脂肪細胞を直接的に減らす効果はないため、生活習慣が乱れたら直ちにリバウンドするリスクがあります。
痩身機器を用いた施術は脂肪細胞を自然死(アポトーシス)させたり熱凝固させたり、様々な方法で不可逆的に減少させます。
また食欲抑制剤を用いた方法では、比較的容易に食生活を改善することが可能です。長期的に続けることができる薬剤もあり、使用を止めた後でもリバウンドしにくい方法と言えます。
POINT
・医療痩身=脂肪細胞を減らす
・痩身エステ=脂肪が落ちやすい体質にする
医療痩身はクリニックのみで施術可能
医療痩身は脂肪細胞に直接的に作用し、不可逆的な変化をもたらす医療行為です。そのため国家資格を有する医師、看護師がいるクリニックでのみ行うことができます。
エステサロンで医療機器を用いた痩身施術を行っていたとしたら、違法行為として処罰される可能性があります。
そのような医療痩身ですので、低リスクとは言えども多少の副作用や合併症を伴う場合があります。
メリットだけでなくデメリットやリスクなどをきちんと説明してくれるクリニック探しこそ、ダイエット成功の近道と言えるでしょう。
医療痩身の費用
重度の肥満の方、または糖尿病の方などは肥満外来や糖尿病外来で治療を受けることができ、保険適応となります。
しかし、美容クリニックで提供される医療痩身は保険が適応されず自費診療となる場合が大半です。
費用はクリニック毎に異なります。また施術によっては複数回行うことが必要となるため、コース料金を設定しているクリニックがほとんどです。
どのような施術なのか、痛みはないのか、続けられるかなど、不安に感じる方のためにトライアル施術を受けられるクリニックもあるようです。気軽に相談してみると良いでしょう。
高い効果を期待するなら医療痩身
ここまで、医療痩身について解説してきました。まとめますと
・医学的根拠に基づいたダイエット法である。
・厚生労働省の承認を受けた機器を用いている。
・脂肪そのものを直接的に減少させるためリバウンドしにくい。
・部分痩せが可能である。
・かつての施術に比べて低侵襲で低リスク。
・行うのは国家資格を有する医療従事者。
・万が一のトラブルの際も、医療機関であるが故の速やかな対処が可能。
このような特徴があるのが医療痩身です。クリニックによって取り扱う機器や薬剤が異なるようです。
医療痩身に興味を持たれた方は、ぜひクリニックでご相談されることをお勧めします。
この記事を書くにあたり以下のHPを参照させていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
東北大学病院 総合外科 減量外科
http://www.surg.med.tohoku.ac.jp/bariatric/index.html
富士フィルム富山化学株式会社 サノレックス®錠0.5mg(マジンドール)
http://fftc.fujifilm.co.jp/med/products/therapeutic/appetite_suppressant/sanorex/sanorex.html
Xenical®(orlistat)(英語HP)
https://www.xenical.com/
ノボノルディスク社「糖尿病サイト」
https://www.club-dm.jp/
痩身専門クリニック「KUMIKO CLINIC」院長 下島久美子のブログ
https://ameblo.jp/doctor-kumiko/entry-12453726090.html
法律・行政&暮らし&Web・ネットのお役立ちブログ
https://ongyosei.net/blog/2017/09/03/beauty/
KUMIKO CLINIC
https://kumiko.clinic/examination/soushin
この記事の監修医師ゴリラクリニック総院長 稲見 文彦
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経歴
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2000年東邦大学医学部卒業
東邦大学形成学科学科学教室入局
2003年大手美容形成外科入職
2008年京都分院長に就任
2015年ゴリラクリニック総院長就任
- 所属学会
- 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)