GLP-1(ジーエルピーワン)という名前をお聞きになったことはあるでしょうか。
食欲を減らす効果がある薬剤で、海外では肥満症の治療薬として広く用いられています。
GLP-1ダイエットは、食事制限や適度な運動を行った上で「GLP-1」というホルモンを体内に注入し、理想の体型を目指していくメディカルダイエットです。
今回は、GLP-1ダイエットの特徴や注意点、副作用について解説します。
この記事の監修医師ゴリラクリニック総院長 稲見 文彦
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経歴
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2000年東邦大学医学部卒業
東邦大学形成学科学科学教室入局
2003年大手美容形成外科入職
2008年京都分院長に就任
2015年ゴリラクリニック総院長就任
- 所属学会
- 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
目次
GLP-1とは小腸から分泌されるホルモン
まずは「GLP-1」について解説いたします。
GLP-1とは、食事によって小腸から分泌されるホルモンの一種で、血糖値の上昇を抑えるインスリンの分泌を促します。また血糖値を上げるグルカゴンの分泌は抑えます。
つまり血糖値を上がらないようにする薬剤、とお考え下さい。
さらにGLP-1には胃の内容物の排出を遅らせ、また食欲を抑える働きもあるためダイエットに効果的な薬剤として広く用いられるようになりました。
GLP-1ダイエットの特徴
GLP-1には大きく分けて2つの作用があります。
l 血糖を司るホルモン分泌をコントロールし、血糖上昇を抑える
l 胃の内容物をゆっくりと腸へ送り込む
上記の作用からダイエット効果をもたらすのがGLP-1ダイエットです。
ではGLP-1ダイエットにはどのような特徴があるのでしょうか。以下で解説します。
GLP-1は食欲を抑える効果がある
GLP-1には食欲抑制作用があり、使用することで食事量を少なく抑えることが可能です。
また胃の内容物をゆっくりと排出させる作用があり「胃もたれ」に近い感覚になるため、食事量のコントロールに役立ちます。
そのため「間食が止められない」「食事を減らすと空腹感が辛い」などの方にGLP-1ダイエットは最適です。ただし「たくさん食べても太らない」わけではありません。
GLP-1ダイエットの特徴を正しく理解しましょう。
GLP-1ダイエットはストレスが少ない
ダイエットを行う際、最も辛いのが食事制限。GLP-1は自己注射を行うだけで食欲を抑えることができるため、ストレスの少ないダイエット方法と言えます。
後述しますが副作用も比較的少なく、注射時の痛みもほとんど心配ありません。この点からも低侵襲なダイエット法と考えられます。
GLP-1ダイエットはシンプル
GLP-1ダイエットは非常にシンプルなダイエット法です。1日1回、決まった時間に自己注射するだけで空腹感や食欲が減るため、食事制限がラクに行えます。あとは適度な有酸素運動をするだけ。
ただしGLP-1ダイエットを始める際は医師の診察を受ける必要があります。その後は以下のような流れになります。
| 医師が診察し注射指導を行った上で、注射キットをお渡しする
| ご自身で1日1回、自己注射していただく。
| 定期的にクリニックを受診し、副作用や合併症の有無を確認する。問題がなければダイエットを継続する。
GLP-1ダイエットはインスリン注射とは異なる
GLP-1ダイエットの説明をする際に「糖尿病の方が行う、インスリン注射のようなものです」と申し上げることがありますが、もちろんGLP-1とインスリンは大きく異なります。
またGLP-1とGLP-1ダイエットで使われる「リラグルチド」も正確には異なります。1型糖尿病はインスリンが不足する病気ですので、インスリン注射を行って補充します。
GLP-1はインスリンの分泌を促す作用がありますが、インスリンそのものではありませんので1型糖尿病の方に注射しても効果がありません。
また自然に存在するGLP-1は体内で速やかに分解されてしまいますが、リラグルチドは長く作用するよう作られています(そのため正確にはGLP-1受容体作動薬と呼ばれています)。
繰り返しますが、インスリンとGLP-1は異なる薬剤です。
インスリンは注射し続ける必要がありますが、GLP-1ではそのようなことはありません。このことはよく覚えておいていただきたいと思います。
POINT
自然に存在するGLP-1は体内で速やかに分解されるが、GLP-1ダイエットで使われる「リラグルチド」は長く作用するよう作られている。
GLP-1における注入時の痛み
GLP-1ダイエットを始めたいと考えている方の中には、「注射が怖い」「痛そう」と不安になる方もいらっしゃるかと思います。
痛みの感じ方には個人差がありますが、「痛みはほぼ感じなかった」「痛みを覚悟していたが拍子抜けした」と感想を述べられた方が大勢いらっしゃいます。
GLP-1専用の注射針は、採血や予防接種で用いられる針よりも細いことが特徴です。
ゴリラクリニックでは、さらに細い極細の針(直径0.2㎜ 34ゲージ針)を採用しているため痛みはほとんど感じず、注射の跡が残ることもほぼありません。
またGLP-1ダイエットは皮膚の中ではなく脂肪に打つという点と、薬剤が体内に浸透するスピードが比較的ゆっくりな点も、痛みが少ない理由とされています 。
POINT
GLP-1注射の痛みは少ない
GLP-1ダイエットの注意点
GLP-1は食欲を抑え、無理なくダイエットをサポートできる薬剤ですが、使用に関してはいくつか注意点があります。
以下の項目に当てはまる方はGLP-1ダイエットを行うことが難しい場合があります。
| 18歳未満、または75歳以上の方
| 糖尿病、肝臓・胆のう・膵臓に疾患がある方
| 大きな腹部手術の既往のある方、腸閉塞の既往のある方
| やせ過ぎの方(BMI18.5未満、体脂肪率15%未満)
| 内分泌疾患やステロイドなどの薬剤による肥満の方
| 甲状腺疾患のある方、多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある方
| 精神疾患をお持ちの方
| サクセンダの添加物(リン酸水素二ナトリウム水和物、プロピレングリコール、フェノール)にアレルギーがある方
上記に該当される方は、まず医師に相談してみることをお勧めします。
GLP-1ダイエットでは食欲が抑えられるため少ない食事量で満腹感が得られます。
しかし、栄養バランスには注意が必要です。朝ごはんは菓子パン1つだけ、などのような食生活を送ることのないようお願いいたします。
また、食事指導を行っているクリニックもあるようです。健康的なダイエットには栄養管理が不可欠です。ぜひ活用してみましょう。
GLP-1ダイエットの副作用
GLP-1ダイエットでは、次のような副作用が現れることもあります。
| 便秘、軽い吐き気(5%以上)
| お腹が張る、食欲が減る(1%以上)
| 倦怠感、頭痛など(1%未満)
低血糖は頻度不明の副作用であり、稀な副作用と言えます。
万が一、ふらつきや冷や汗など、低血糖症状が出た場合は速やかに糖分を摂取しましょう。その際は吸収が緩やかなチョコレートなどではなく、飴や黒糖などを摂ることをお勧めします。
GLP-1の副作用で頻度が高いのが、胃もたれ感や胸やけ感です。治療を開始して日が浅いうち、または薬液量を増量した際にこのような症状が出ることが多いようです。
ゴリラクリニックではGLP-1を処方する際に、制吐剤(吐き気止め)も一緒にお渡ししております。
さらに、万が一GLP-1が身体に合わず治療継続が難しい場合を想定して、必ず2週間のトライアル治療期間を設けており、初めての方でも安心してGLP-1ダイエットに取り組めるような工夫がされております。
GLP-1は医療機関でのみ扱うことができる薬剤です。最近では様々なクリニックがGLP-1を手掛けていますが、価格だけでクリニックを選ぶのはお勧めできません。
医師からの説明が丁寧で分かりやすく、かつ副作用やリスクへの対応がしっかりしているところを選びましょう。
GLP-1ダイエットがおすすめ方
次の項目に当てはまる方は、GLP-1ダイエットをおすすめいたします。
| 食事管理がしづらい方
| トレーニングをする時間がない方
| 仕事が忙しくて夕食が深夜になりがちな方
ダイエットには食事制限が欠かせませんが、言うは易く行うは難し。空腹感に耐えかねてついつい食べてしまいます。
GLP-1ダイエットは毎日決まった時間に投与するだけで食欲を抑えることが可能なため、メタボ予備軍な方には非常にお勧めのダイエット法です。
もちろん適切な食事制限や有酸素運動は平行して行いましょう。GLP-1をプラスして用いることで痩せやすい体質を持続することが可能です。
GLP-1ダイエットが気になる方はクリニックでご相談を
GLP-1ダイエットは、GLP-1を体内に取り込むことで血糖値の急上昇を抑え、食欲を抑制することを利用したダイエット方法です。
ゴリラクリニックでは今回ご紹介した「GLP-1」や、脂肪を凍らせて減少させる「クールスカルプティング」、腹直筋を超極大収縮させ鍛え上げる「エムスカルプト」などのメディカルダイエットをご提供しています。
GLP-1は食欲を減らすことで食事制限の辛さをサポートし、内臓脂肪の減少を目指します。
クールスカルプティングは厚労省の承認を受けている機器で、安全性や効果が証明されており皮下脂肪の減少に役立ちます。
エムスカルプトは筋肥大と皮下脂肪減少を可能にしたユニークな機器で、男性の腹部をしっかりと作り上げることを目指します。
「どの治療法が自分に合うか分からない」「3種類のダイエット方法の違いがよく分からない」という方もいらっしゃるでしょう。
ゴリラクリニックでは「トライアルコース」や「無料カウンセリング」を承っております。メディカルダイエットのことがまだよく分からないという方は、一度ご来院のうえ医師に相談してみてはいかがでしょうか。
参考
日本糖尿病学会 http://www.jds.or.jp/
糖尿病診療ガイドライン「血糖降下薬による治療」http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/gl/GL2019-05.pdf
糖尿病情報センター http://dmic.ncgm.go.jp/
知りたい!糖尿病「GLP-1受容体作動薬とは?」 https://www.diabetes.co.jp/dac/coexistence/glp-1
この記事の監修医師ゴリラクリニック総院長 稲見 文彦
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経歴
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2000年東邦大学医学部卒業
東邦大学形成学科学科学教室入局
2003年大手美容形成外科入職
2008年京都分院長に就任
2015年ゴリラクリニック総院長就任
- 所属学会
- 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)