「頭皮の日焼けが薄毛を招く」はホント?現役医師が解説

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「頭皮の日焼けが薄毛を招く」はホント?現役医師が解説

夏本番の8月。毎日のように厳しい日差しが降り注いでいますが、みなさん紫外線対策は万全でしょうか。夏になると気になるのが日焼け、特に「頭皮の日焼け」を気にしておる方は少なくないようです。

「頭皮が日焼けすると抜け毛が増える」「紫外線は薄毛の原因になる」など様々な説がネット上を飛び交っていますが、果たして本当なのでしょうか。現役医師が分かりやすく解説します。

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ゴリラクリニック総院長
稲見 文彦

1.そもそも頭皮は日焼けしにくい。

 頭髪には様々な役割がありますが、その一つに「熱や紫外線から頭部を守る」という役目があります。顔まで真っ黒に日焼けしても頭皮は白いままであることからも、髪の毛が紫外線を吸収し頭皮を日焼けから守っていることが分かります。

 逆に髪の毛によって守られていない分け目やつむじが日焼けしてしまった、という経験をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。とはいえ頭皮全体が日焼けする、というのは丸坊主や薄毛の人でなければ起こり得ないことなのです。

 「頭皮が日焼けすると抜け毛が増える」という説は実は誤りと言えるでしょう。(ただしこの表現にはカラクリがありますので後述します)


2.日焼けと抜け毛に強い相関関係はない。

 次によく見られるのが「紫外線は毛母細胞にダメージを与えるため薄毛の原因となる」という説。では、頭皮よりも日焼けしやすい顔や腕はどうでしょう。

 紫外線の影響が毛母細胞に及んでいるのであれば、ヒゲや腕のムダ毛は日焼けするほどに薄くなるはず、ですね。「ゴルフやサーフィンを趣味としている人が、そうでない人よりも毛が薄くなる」なんて説は聞いたことがありません。

 「紫外線が毛母細胞にダメージを与える」ことは正しいでしょう。また「ダメージを受けた毛母細胞が毛髪を作る機能を失う」のも本当かもしれません。だからといってこの両者に関係があるかというと疑問が残ります。

 つまり日焼けと抜け毛・薄毛の間には強い相関関係があるとは言えない、そのように考えられます。では「紫外線対策なんて意味がない」「日焼けしても問題ない」のでしょうか。次の段で解説します。


3.紫外線による薄毛は一時的な現象

 強い紫外線を浴びた髪の毛はどのように変化するのでしょうか。まず「コシ、ハリがなくなる」「パサつく」「毛先がまとまらなくなる」などの変化が起こります。ダメージを受けた頭髪からは内部のタンパク質が漏れ出てしまうためと考えられています。

 また、紫外線を浴びる時間が長いほどタンパク質の漏出量が多いことも分かっています。このことを「髪の毛のボリュームが減った」イコール「薄毛になった」と考える人もいるかもしれません。

 しかしこの状態は適切なケアを続けていれば回復します。恒久的な薄毛とは少々異なります。

4.髪の毛のダメージは気づきにくい

 肌のダメージはすぐに気づくことができるのに対し、髪の毛のダメージは自覚しにくい特徴があるため注意が必要です。例えばニキビやカミソリ負けが生じると赤くなったり腫れたり、また痛みが出たりするために「あ、肌が荒れているな」と分かります。

 一方髪の毛は痛みを感じることができないため、ダメージを受けていても気づくのが遅くなる傾向があります。

 さらに紫外線による「見えないダメージ」はより一層気づきにくく、知らない間に蓄積してしまうため適切なケアを怠らないよう気を付けましょう。

5.正しくは「薄毛だから頭皮が焼ける」

 さて、ここまで紫外線と抜け毛・薄毛には強い相関関係がないことを説明してきました。ただしこれらは「髪の毛がちゃんと生えている」ことが大前提です。

 加齢と共に毛量が減り地肌が透けてきた人、または男性型脱毛症(AGA)の方は紫外線から頭皮を守ってくれる大事な頭髪が乏しいわけで、適切な紫外線対策(UVケア)が必須です。

代表的なUVケアとして帽子や日傘を活用したり、頭髪用の日焼け止めを使ったりすることをお勧めします。

 前述しましたが「頭皮が日焼けするから薄毛になる、抜け毛が増える」のではなく「薄毛だから頭皮が日焼けする」と表現するのが適切でしょう。薄毛の方の頭皮が真っ赤に日焼けしていたり、皮が剥けていたりするのを見た人が「頭皮が日焼けすると薄毛になる!」と勘違いしたのかもしれませんね。

ちなみに頭皮が日焼けするとどうなるか、以下に列挙します。

              
  • 赤みや痛みを生じる               
  • 頭皮が強い乾燥状態となり皮が剥ける               
  • シミや脂漏性角化症など、紫外線を原因とする皮膚疾患が生じる               
  • 皮膚悪性腫瘍が生じるリスクが増す

  • 以上からも頭皮を日焼けから守ることの大切さがよく分かります。

    6.だから正しい薄毛ケアが必要

     頭髪には紫外線から頭部を守る働きがあることを説明してきました。頭髪があるからこそ頭皮は守られるわけで、その頭髪が少ない状態がいかにリスクを伴うことかお分かりいただけたと思います。

     だからこそ薄毛を適切にケアして頭皮を守っていかなければなりません。 男性型脱毛症(AGA)は早期発見・早期治療が大切です。

     症状が進行し重度のAGAに至ってしまうと、どんなに頑張って治療しても軽度改善か現状維持が精一杯。明らかに良くなったという状態には到達しないと言われています。

     以下に当てはまる人は注意が必要です。なるべく早めに医療機関で診察を受けることをお勧めします。


  • 父親や祖父がAGAである。
  • 20代の頃より額が広くなった。
  • 他人から頭頂部の薄さを指摘された。
  • 前髪が割れて額が透けるようになった。

  •  では、正しい薄毛ケアとは何でしょうか。AGA治療にも携わる医師としてお伝えするのは次の3点です。


    1. 自己判断せず医師の診察、治療を受ける
       誰もが自分がAGAとは認めたくないものです。しかしAGAであるにも関わらず育毛剤やヘアケア用品、生活習慣の改善だけでAGA症状を良くすることは不可能です。
      専門の医療機関を受診すること、信頼できる医師の診察を受けること、治療のメリットやデメリットをきちんと説明してもらい適切な治療を受けること、これに勝るものはありません。

    2. 最も推奨されるのはフィナステリドとミノキシジル
       巷には様々なAGA治療が乱立していますが、フィナステリドとミノキシジルを避けてはAGA治療は語れません。
       副作用を心配する気持ちは分かりますが「これらの薬剤を使わないデメリット」もよく考えることが大切です。

    3. 治療は継続が大事
       AGAは完治する病気ではありません。薬剤を使って症状を止めているに過ぎないことを理解しましょう。従って治療を中断するとAGA症状は再び進行します。

     治療は末永く続けていくことが求められます。そのためにも信頼できる医療機関を探すことが、AGA治療を成功させるカギでもあります。

    7.まとめ

     頭皮の日焼けが薄毛や抜け毛に繋がる、という説がありますが理屈から考えると必ずしも正しいとは言えません。とはいえ紫外線が肌や髪の毛にダメージを与えることは確か。適切な紫外線対策を行いましょう。

     また薄毛の方は頭皮にも紫外線が当たりやすく、紫外線による害が心配です。仮にAGAならばちゃんと治療を受けることで毛量を保つことができます。

     見た目の改善だけでなく紫外線から頭皮を守ることもできるため、専門の医療機関を受診してみることをお勧めします。

    この記事の執筆医師

    ゴリラクリニック総院長 稲見 文彦

    ・経歴
    2000年 東邦大学医学部卒業
    東邦大学形成学科学科学教室入局
    2003年 大手美容形成外科入職
    2008年 同京都分院長に就任
    2015年 ゴリラクリニック総院長就任
    ・所属学会
    日本形成外科学会
    日本美容外科学会(JSAPS)
    美容皮膚科学会
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