【VS企画! ともしどの話】車生活者が憂鬱になると奇々怪々を呼びよせる

ゴリクリ様アイキャッチ_ともしど

だ~れも貸してくれん。世知辛か~。築50年で家賃2万ちょいの小学校みたいなアパートも、ボクを受け入れてくれないんですか? 階段の裏の空いたスペースに「神はあなたを助けます」って書いてあったけどダメ?

そんなにボクの人相が悪いからって、あまりにも冷たくないですか? 人は見た目が100%ってことですか? ボクが「無職ですが収入はあります」と言っても、「安定した収入がないと……」としか言ってくれないんですか? 人相はどうにもできないじゃないですか? それならいっそ「顔が信用できない」と正直に言ったらどうですか!!!

そんなわけで、顔が悪くて家を借りられない無職のボクは、とうとう車生活者になりました。2015年初春のノン・フィクションです。5分で読めるので5分ください。まって! 5分! 5分だからあああ!

SHOKUSHITSU

怯えた子猫みたいな顔を浮かべて「太陽さん、太陽さん、行かないで……」と念じても、ただ切ない気持ちになるだけです。なるべくそっとしておいてほしいとは思うけれど、真っ暗な中で誰もおらず明かりもない状況でそっとされすぎるのも考えもの。ノラ猫来て!

願えば叶うのかもしれません。願ってみるもんですね。「あ~あ、なんでもいいから照らしてくれないかな~」とボヤいたらものの10分で叶いましたよ。パトカーが「怪しいやついねが~」と赤い光で照らしてくれました。さすが、いい仕事するううう。

ポリツァイ(ブルガリア語:警察)に声をかけられるのはとてもマズいんですよ。だって住所不定無職ですよ。こんなにも仕上がった肩書がありますか。いえ、ボクは何も悪いことをしていないんですよ。清廉潔白です。でも、「冤(えん)罪」という言葉が判決後の「勝訴」の半紙のように脳内に浮き上がってくるんです。ああ、無実の罪ってこうやって生まれるのか……。

きっとこうですよ。牛乳瓶に押し込まれるような取り調べにビビッて、ボクは「は、はい、ボクがやりました……」って言っちゃうんです(※イメージです)。でもね、ここで気付いちゃったんですよ。べつにボク、冤罪で逮捕されても失うものがないんですよね。無職ですから。こんなに悲しいことがありますか……!

あ~。赤いのがクルクルしてる~。超アラートモードじゃん~。怖いわ~。ウケる~。そんなことを考えていたら、「(バタン!)」という車のドアを閉めたっぽい音が聞こえました。

心臓の音が180bpm(beats per minute)を超える。なんだろう、甘くてふわふわしたものを口に入れたい。マシュマロとかね。もし捕まったら、かつ丼の代わりにマシュマロお願いしよう……。コンコン。窓ガラスをノックされた。うわ、マジだ。ポリツァイだ。もう潔くいこう。そう思うと、不思議と気持ちが落ち着いてくる。諦めが肝心?

 歴史が動いた

「すいません、このあたりに不審者情報があってですね。」

やっぱり諦めたくないいい! うわあああ! 詰んだあああ! なんか言わなきゃ! ビーバップ! ビーバップ!! ビーバップ? ビーバップって何!? 品行方正だ! え? なんて!?

「車内で寝るのは控えていただけますか?」

……え、それだけ? なぁんだ、それだけかぁ。てっきり職務質問されてシドロモドロになっているボクを引きずって連れて行くんだと思ってたけど~。ですよね、こんなところで寝ていたら邪魔ですもんね。ホントすみません。じゃ、ボクはこれで……。

否

「暴漢に襲撃される恐れがあります。」

は? え? ここ、日本ですよね? 襲撃されるって? 誰が? あ、ボクか。この街には恐竜でもいるんですか? ボクみたいな野ウサギは秒で狩られます? 上には上がいるんだな~。ボク以上に怪しい人も、危ない人もいっぱいいるんだ~。

普通に怖いのでさくっといなくなる決意を固めました。ポリツァイには「か弱い野ウサギは森に帰りますね」とボケてみたつもりが、「森も危険なのでやめてください」とマジレスされてびっくり。そんな、まさかぁ。急いで近くの森を調べて、車を走らせました。こうなったら森くらいしか行くとこないだろ……。

 

SERVICE AREA

「トホホ」とマ〇オさんみたいな声が出ました。もう、なんも考えずに寝たい……。「森のなるべく奥のほうに行こう」と、ヤサグレながら運転していたら、緑の看板が目に入りました。はっ!!! これだ!!! SA(サービスエリア)いいじゃん!!!

目立たずに車を停めるなら、車がいっぱいあるところに行けばいいんじゃ~ん。木を隠すなら森、車を隠すならSAですよ。名案~。

そんなわけで高速料金は気になったものの、とにかく眠いのでわりと近めのSAに向かいました。これで、やっと寝れる。あ、でも寝る前にお手洗い行っとこう。おねしょはマズい。ノドも乾いたし。さくっと車に戻ろう。しかし、お手洗いに入ってすぐ、アレがアレすぎる光景を目の当たりにして足が止まりました。

20代くらいの男が小便器を抱えてうずくまっている。おいおい、これはまことか。みんな「うわ」という顔をしてスルーしているけど、スルーできるかっ! こっちはドライバーズ・ハイとナチュラル・ハイでキマってんだ! 面白くなっちゃうじゃないか!!!

とりあえず、男のとなりで用を足すことにした。男はうなだれたまま動かない。というか、むしろ体を突っ込んでいる。トイレ掃除に慣れているボクも、さすがにそこまではしないぜ。ファンキーだねぇ、兄ちゃん。

 歴史が動いた2

 便器男

何があったんだ!!! あっぶね。まだ出してなくてよかった。いきなり大きな声を出されたら、びっくりしちゃうでしょ。ほら、みんな「えっ」て顔になっちゃってるじゃん。ほらほら、そろそろお家に帰……、あれ? なんかこの感じ、身に覚えがあるな。あ、ポリツァイがボクに向かって話しているときのかんじに似ている! なんてこった! こういう気持ちでボクのことを見てい……。

便器男2

マザーーー!!! 突然の叫びに、そこにいる男子、みんなあんぐり。「なんも言えねぇ……」という空気が流れている。そりゃそうだ。まさか男が「お母さんごめんね」の状態だなんて誰ひとり想像していなかったでしょうからね。しかし、男を見ていた大学生っぽい青年がポツリとひょんなことを言いました。

便器男3

「お、おう……」「そうだな……」「やるか……鬼ごっこ」「やろうぜやろうぜ……」「誰が鬼やるよ……」まさかの鬼のいない鬼ごっこ開戦。「なんも言えねぇ」の空気が周囲を童心に還らせたようです。マジ?

鬼ごっこが始まるのが面白くて、試しに「ボクも仲間に入れて?」と言ってみたら、幸いにも「いいぜ、やろうぜ」とちびま〇子ちゃんの杉山くんみたいに返してくれました。ふふふ、鬼ごっこなんて何年ぶりだろう。ちょっと楽しみかも。しかし、鬼ごっこは2分で終了しました。

鬼が泣いている男にタッチしたんです。「ほら、元気出せよ。いっしょに遊ぼうぜ」的なノリでタッチしたんでしょうね。杉山くんですから。善意ですよ、善意。歩く善意の杉山くんですからね。

しかし、杉山くんは直後に青ざめます。「ボクにさわるなあああ!!!」と泣いている男が叫んだからです。「オーノー……」と声をもらし、後ずさりする杉山くん。さすが、いつも大野くんのことを考えていらっしゃる!!!おあとがよろしいようで。

鬼ごっこの終わりを見届けて、「じゃ、このへんで」と言い残してボクは車に戻りました。でもあれ、ちょっと待って。お手洗いに行ったのに、用を足していないじゃん。おいおい、何やってんの。しょうがない、もう一度行くか……。

お手洗いに戻ると、あの男はいませんでした。ちょっとは我に返れたのかな、よかったよかった。男が抱いていた便器をふと覗き込んだら、く〇モンのキーホルダーが悲しげな顔を浮かべていた。一番の被害者はキミだな。清掃の人に救出してもらいなね。

 

OWARINI

車内での寝食を繰り返していると、とにかく風邪が治りません。ふかふかのお布団で寝れるって最高。寝心地って必要。睡眠って大事だよう。

車生活は、1か月ほどで終わりました。たまたま電話をくれたお世話になっているパイセンが「うちの社長アパート持ってるよ」と言ってくれて、縁を繋いでくれたのです。「〇〇くんのお友達なら悪い子じゃないと思ってね」と大家さんに言われたのが印象的でした。信頼のチカラってすげ~。

もしも、家を借りれなくて困ったときには、バイトすればイケます、たぶん。会社に属していれば借りられるみたいですよ。そのアドバイスはアパートの管理会社の人から受けたものなので間違いないと思います。ボクは「なんだか悔しい」の一点のみで無職のまま粘りましたが。ん~、くだらない。

とりあえずボクにとっては、車生活がいい経験になりました。色んな人に感謝できましたし、つまらない意地を張っても仕方ないと悟れましたし、面白い出来事もたくさんありましたから。ちょっとでも面白いと思ってもらえたら嬉しいです。ではでは。

ライター : ともしど

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1988年埼玉県生まれ。経営学部卒。上場企業の元社畜。現在は文章を書くのが好きな妖怪。週2でバーに現れる(バイト)。雷と寒いのが嫌い。タバコは1mgで健康体。特技は寿司を握ること。にわかツイッター(@tomoshido)中毒。好きな食べ物はカレーパン。

 

 

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