【新生活】環境を変えるって大事! 前に住んでいた家が色々とヤバかったというお話

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文:星野藍
グラフィック&UIデザイナー、写真家、書道家。福島県福島市出身。従姉の死、軍艦島へ渡った事をきっかけに廃墟を被写体とし撮影を始める。2016年『チェルノブイリ/福島 ~福島出身の廃墟写真家が鎮魂の旅に出た~』(八画文化会館)上梓。

フレッシュマンの季節到来

出典:shutterstock

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2018年も、もう4ヶ月目。4月になった。4月は新たな始まりの季節だ。
新学期。新入生。新入社員。フレッシュマンたちが学園やオフィスで春風を吹かせ今までとは違う環境で生きて行く。

環境が変わる事。環境を変える事。そう、それはとても大切な事だ。かく言う私も環境を変えた側の人間だ。職業、そして住居。

あの時「今まで住んだ事のない街に住んでみよう。」そう思い立ったのには様々な理由があった。引っ越しに至るまで、かつての住居で何があったか。自分ではあまり重く捉えていなかったのだが話した人々に「なんでその段階で引っ越さないの。」「やばいでしょ!」「どんな無法地帯に住んでるんですか。」……口々散々に言われてしまった。では、私のかつての住居(賃貸マンション)で何があったのか、少々お話していく事にしよう。

 

誰かいるはずなのに誰もいない部屋

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私の隣の部屋は、入れ替わりの激しい部屋だった。最初のお隣さんは母子家庭の母息子。母親が恋人を連れ込んでいる間、朝の5時だというのに小学生4年生くらいの男の子がひとり寂しく歩いている姿をよく見かけた。

「…大丈夫?」
「はい、大丈夫です。」

受け答えも礼儀もしっかりした、おとなしい印象の少年だった。半年も経たないうちに一家は何処かに引っ越してしまった。

次に引っ越してきたのは、単身の力士だった。夜になると近所の相撲部屋から仲間の力士たちが集まり毎日のように騒いでいた。

そう、私の住んでいたマンションは壁が恐ろしく薄かった。まるで紙だ。テレビの音、話し声どころか放屁の音さえも聞こえた。しかし力士もそう長くは定住せず、1年足らずで引っ越していった。誰もいなくなった隣室。騒音のしない平和な日々が訪れた。

しかしある夜、隣室から何やら男の話し声が聞こえてきた。
(あれ、まだ誰も引っ越してきていないよな……?)
ボソボソ、ボソボソ。電話で喋っているような様子だ。

(外から隣の部屋の窓が見えるから、電気が点いているか確認しよう。)
電気は点いていなかった。カーテンももちろん付いておらず、きちんと入居前の部屋の装いをしていた。

数日後、夜中の1時頃外出から帰ってくると隣室の電気が点いていた。
(あれ、ついに引っ越してきたのかな?)

しかし、様子がおかしい。カーテンは付けておらず、部屋の中心で真っ黒な人が突っ立ったままゆらゆら、ゆらゆら、揺れているのが見えた。
(なんだあれ気持ち悪いな。)
私は自分の部屋に帰ったが、隣からは特に物音はしなかった。

しかし後々気が付いた。あの角度から見えたという事はあの黒い人は2m以上の高さの何者か、という事になるという事に……。2m以上の人間などそうそういない。あれは一体……?

それから二週間以上経っても、部屋のカーテンは取り付けられる事はなく、やはり誰かが入居した様子はなかった。

しかしそれでも、何度も何度も隣から話し声が聞こえたので、もしかしたら不法滞在者がいるのかもしれないと不安に思い一度通報をする事にした。駆けつけた警察が私のベランダから隣のベランダに移り中を覗いたところ「誰もいませんよ。というか、居住者のいない家って電気通っていないからチャイムも鳴らないんですよね。ほら。」
「え。」
じゃあなんであの時、電気が点いていたのだろう。私が見たものは一体なんだったのだろう。

思い返しても答えは出ないままだ。隣室は1年ほど空き家のままで、次なる居住者になった者は恐ろしくけたたましい外国人女性たちだった。

 

壊された覗き穴

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ある夜、外出から帰ってくると……

「……え。」

覗き穴が、壊れていた。状況が分からなかった。覗き穴に普通付いている筈のガラスのレンズが、なくなっている。私は思い出した、サムターン回しという覗き穴を壊して内側から穴を開ける泥棒の手口の事を。

これは……まさか……。

心臓がバクバクと音を立てる。妙にひんやりとした嫌な汗がぶわっと吹き出す。中に泥棒がいたらどうしよう。鍵穴に鍵を差す、ガチャリと回すと扉は普通に開いた。中には誰もいなかった。

「よかった……。」

安心するのはまだ早い、警察に通報だ。早急に現場に駆けつけた警察官は2人、状況を聞き込み現場を確認する。

「うん、棒状の物を突っ込んで壊してますね。ほら、玄関にガラスの破片が散らばってるでしょ。」
玄関の床には、目を凝らさないと分からない細かいガラスの破片が散らばっていた。
「私の家だけじゃなくて、この階の部屋の覗き穴全部壊されていますね………。」

そう、覗き穴を壊されていたのは自分だけではなかった。一体何の為に? 真相は謎のままだ。

 

ムショ帰りの隣人

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私は非喫煙者だが、広告業界に身を置いていた頃ほんの少しだけタバコを吸っていた時期がある。とは言っても基本的に煙に弱い自分、1ヶ月に1本だけ吸うという喫煙者としてカウントされない程度の喫煙頻度だった。夜風に当たり1本だけ吸うタバコ。玄関を出てすぐの外に面した共用廊下で煙を燻らせていた。

ある日、タバコを吸おうとドアを開けたら隣の隣に住むおじさんがタバコを吸っていた。

「こんばんわ。」
「あ、こんばんわ。」

おじさんは、体ががっしりとした強面風だが、基本的に人と目を合わせない。だけど悪い人ではなさそうだった。

「タバコ吸うんですか。」
「そうなんですよー1ヶ月に1本だけ。」
「あはは、エコですねー。」
なんて世間話を始めた。

おじさんが私に問いかけた。
「お姉さん出身何処なんですか。」
「福島です。」
「いいですね、食べ物もお酒も美味しくって。栄町とか置賜町とか懐かしいなぁ。」
「詳しいですね、行った事あるんですか。」
「福島刑務所にいたんです。」

「え。」

おじさんは、元ヤ○ザだった。長野、北海道、福岡……全国様々な刑務所を転々としたらしい。

「真っ当に生きようと思っても、俺こんなんだから仕事全然続かなくって。何処行っても結局やめての繰り返しで。だから生活保護でしか生きていけないんです。それが自分の為、社会の為だと思ってる。俺みたいな人間は外に出ない方がいい。」

何とも言えない、今まで自分の心の中に流れ込んだ事のない感情が、その時流れ込んできた気がする。

人生って、何なのだろう。

と言うか『うちは審査厳しいのでマンションの住人は安心出来る確かな方しかいませんよ』と言っていた不動産屋、とんだ嘘つきじゃないか……!

ちなみにおじさんの家は何故か複数の男性が出入りし住んでいたので、密かに心の中で『タコ部屋』と呼んでいた。

 

そして私は引っ越した

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その他も変質者が大量出没したり、駅から家までついてくる不審者が頻発したり、目の前の家が全焼したり、謎のラップ音が収まらなかったり、うっかりドアの鍵を開けっ放しにして寝てしまった夜部屋から家の鍵だけを盗まれたり、新たに引っ越してきた別な隣人が毎晩奇声をあげたり……様々な事が余りにも起きすぎて全てが嫌になったのと、同時に個人的転機があったので引っ越す事になった。

ゴミ袋40袋以上ものゴミ、殆どの家具を処分し、約50冊の本を売却・処分し、すっきりさせたつもりだったが自分一人分の荷物で軽トラ約3.5台分もあった。どうしてそんなに荷物があるのか、自分でも理解が出来ない。

やばい隣人もいない、ラップ音に悩まされる事もない、都会の喧騒を離れ森に近い落ち着いた環境を手に入れ現在は安寧の日々を送っている。

絶対にそっちの方がよくなる! と思っていても、環境を変えるという事は大きなエネルギーを使ってしまう為どうしても億劫になってしまいがちだ。

「でも……」「だって……」「めんどくさい……」
そういった纏わりつく怠惰に打ち勝った者にだけ、安寧は訪れるのだ。

4月、何かと新生活の季節。特に予定がなくても今ある環境を見直してみるいい機会かもしれない。

ライター :星野 藍

星野

グラフィック&UIデザイナー、写真家、書道家。福島県福島市出身。従姉の死、軍艦島へ渡った事をきっかけに廃墟を被写体とし撮影を始める。
2016年『チェルノブイリ/福島 ~福島出身の廃墟写真家が鎮魂の旅に出た~』(八画文化会館)上梓。廃墟の他怪しい場所やスラム街、未承認国家にソビエト連邦など、好奇心の侭に国内外を縦横無尽に徘徊する。

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