【殺し屋のマ―ケティング】もしもあなたが「殺し屋」だったら? 売りにくい商材・サービスを売るために大事な7つのこと

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三浦崇典著『殺し屋のマーケティング』には2つの軸があります。ひとつはエンタメ小説。もうひとつはマーケティング・メソッドの解説です。本書はこの2つの軸が交差しながら紡がれていきます。

本記事のラストで触れていますが、この本は小説として、読み物として読み応えのある素晴らしい作品でした。息吹が宿り鼓動が聞こえる文章には400ページをあっという間に読了させる力強さがあります。そして物語に重心をおいて伏線を散りばめながら、著者の開発したマーケティング手法が余すことなく語られます。

著者は今最も話題を集める書店『天狼院書店』の経営者・店主でもある三浦崇典氏。『天狼院書店』は本と「体験」を結びつける試みやタイトルを隠して販売する「天狼院秘本」など画期的なマーケティング戦略で多くのファンに愛される新しい書店です。

本書では「受注数世界一の殺しの会社を創る」という過激でセンセーショナルな主題を追いながら、ビジネスモデルではなくコンテンツが主役の、新時代におけるマーケティング戦略について述べています。

殺し屋という業態は「営業」「広告」「PR」が使えないマーケティング三重苦

出典:Shutterstock

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物語は主人公の女性『桐生七海』が世界最強のマーケター『西城潤』に「私は受注数世界一の殺しの会社を、創らなければならないんです」と訴えるところからはじまります。彼女にはどうしても世界一の殺し屋の会社を創らなければならない『理由』があったのです。そして伝説のマーケターは『理由』を問うより先に『マーケティング三重苦』について諭します。

殺しだから、当然、表立って『営業』もできないし、『広告』も打てない。ましてやマスメディアに対する『PR』なんてもってのほか。マーケティングで最も使える武器である、この三つの武器がまったく使えないことになる。
これってまるで『マーケティングの三重苦』だけど。

三浦崇典著『殺し屋のマーケティング』(P6より引用)

マーケティングという視点でみると、殺しという商品は世界一売りにくいものだったのです。

 

スタートアップやフリーランスの参考になるマーケティングメソッド

ところでこの『マーケティング三重苦』は、現代のスタートアップ企業やフリーランスにも当てはまるのではないでしょうか。本書の主人公・桐生七海の場合は殺し屋という業態がネックだった訳ですが、スタートアップ、フリーランスは『人手不足』や『資金不足』が足かせとなって三重苦に陥ります。

本書が物語というスキームを通して伝える『7つのマーケティング・クリエーション』は、事業拡大に悩むスタートアップ企業やフリーランスにとっても光明となるメソッドです。

 

【売り方】7つのマーケティング・クリエーションとは

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本書に登場する伝説のマーケター『西城潤』は『マーケティング三重苦』の状況下で殺しの会社を大きくするマーケティングの極意を主人公に伝授します。

それが『7つのマーケティング・クリエーション』です。このメソッドは物語においても重要なキーワードであり、ストーリーを重厚で深淵なものに昇華させているのですが、ここではネタバレを避けるためにも巻末付録の言葉を引用して説明します。

もし、あなたのビジネスがうまくいっていない場合、あるいは、思うような広がりを見せない場合、『7つのマーケティング・クリエーション』の中の、どこかのポイントがうまく「創造」されていないことが原因だろうと思われます。
何かの商品を誰かに売るという行為がそこに存在する場合、必ず、マーケティング・クリエーションが必要になります。

三浦崇典著『殺し屋のマーケティング』(P402より引用)

 

①「ストーリー」~旅立ちの理由~

旅をまっとうするためには、それ相応のモチベーションとエネルギーが必要となります。それを生み出す源になるのが、「旅立ちの理由」すなわち「ストーリー」です。これがマーケティング・クリエーションを支える基盤となり、土台となります。

三浦 崇典著『殺し屋のマーケティング』(P403より引用)

 商品を売る、サービスを提供する。そこには必ず『理由』や『経緯』があります。マーケティング・クリエーションの構造を安定させるには、商品を売らなければならないという使命感や強い想いが必要なのです。

 

②「コンテンツ」~商品の質~

マーケティングにとって必要不可欠なものが、サービスを含めた商品、すなわち「コンテンツ」です。「コンテンツ」で最も重要になるのは、「質」です。いかにしてコンテンツの「質」を高めるかが、ビジネスにとって大きなポイントになります。

三浦崇典著『殺し屋のマーケティング』(P403より引用)

売るべき商品やサービスの質は、最も追求すべき要素です。とはいえ、実際のビジネスシーンでは「質」を強化するには時間か費用が必要となります。本書の主張を参考にするならば、コンテンツの質が保たれていない状態で広告費に資金を投入するよりも、コンテンツの質を強化することに集中させた方がよいといったところでしょうか。

 

③「モデル」~継続して提供する仕組み~

「コンテンツ」を創造することができたとしても、それを効率よく、効果的に顧客に届けることができなければ、マーケティングは崩れます。必要な利益を確保することができなくなるからです。

三浦崇典著『殺し屋のマーケティング』(P404より引用)

本書においてモデルとは、コンテンツを提供し続ける仕組みのことを指します。そしてビジネスモデルからアプローチすることの危険性が説かれます。

モデルとはあくまで「コンテンツ」ありきで考えるべきものだからです。

三浦崇典著『殺し屋のマーケティング』(P404より引用)

 

④「エビデンス」~積み上げた実績~

顧客に提供すべき「コンテンツ」があり、正しく「モデル」が機能すると、自然と実績が積み上がっていき、売上データなどの数値となって表れてきます。
顧客に受け入れられ続ければ「エビデンス」は勝手に上昇します。

三浦崇典著『殺し屋のマーケティング』(P405より引用)

エビデンスは、前述した「コンテンツ」と「モデル」の出した答えというべきものです。この3つは相互補完の関係にあり、いずれかが崩れたら、3者の関係も機能しなくなります。

 

⑤「スパイラル」~経験値によるクオリティの向上~

顧客に提供すべき「コンテンツ」があって、合理的なかたちでそれを提供するための「モデル」が構築され、実数値としての「エビデンス」が構築していくと、顧客からのフィードバックを受けて、さらには経験を積むことによってコンテンツの質は上昇します。

三浦崇典著『殺し屋のマーケティング』(P405〜406より引用)

「コンテンツ」「モデル」「エビデンス」が機能すると、コンテンツの質が上がり、上昇気流にのっていきます。これを本書ではスパイラルと表現しています。逆にいえばスパイラルが生じている状況であれば事業は順調であるということでもあります。

 

⑥「ブランド」~信頼の積み重ね~

マーケティングにおける有効な手段である「営業」「広告」「PR」は相応の「資金」と「人的工数」を必要とします。つまり「費用」がかかるということです。もし、このマーケティングにおける三要素を縮減できれば、ビジネスを優位に進めることができるようになります。それを可能とするのが「ブランド」です。

三浦崇典著『殺し屋のマーケティング』(P406より引用)

よくいう「ブランド力」について、その力の正体を紐解いた一文です。ブランドは構築するのが難しく、崩壊するのはとても簡単だと本書でも語られます。

「ブランド」としての「高さ」を維持するためには、常に上昇「スパイラル」を発生させ続ける必要があります。

三浦崇典著『殺し屋のマーケティング』(P407より引用)

トヨタやアップルのブランド力もやはり小さな「コンテンツ」強化を積み上げ、スパイラル上昇を続けてきた結果なのです。

 

⑦「アトモスフィア」~売れる空気~

高いレベルで「ブランド」を維持し続けることで、ある段階を超えると、爆発的な需要拡大が起きる場合があります。いわゆる「ブーム」と言われる現象がそうです。

三浦崇典著『殺し屋のマーケティング』(P407より引用)

ものが爆発的に売れるとき、そこには売れるべくして売れる「空気」が漂っています。現実にブームとなった商品でいえば「うんこドリル」などは、この空気が話題を後押しした例といえるのではないでしょうか。

 

ビジネスモデル主義からコンテンツ主義へ

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出典:Shutterstock

マーケティング・クリエーション7つの要素のうち、最も重視すべきは「コンテンツ」であると、本書は伝えているように思います。

物語序盤で、主人公『桐生七海』は『吉祥寺小ざや』のビジネスモデルに感銘を受け、『小ざや』を模した殺し屋事業スキームで成功を収め『ブランド』を構築しました。

しかしある事件をきっかけとして、一瞬のうちにブランドは崩壊、信頼は失墜してしまいます。失敗の要因は『ビジネスモデル』を重視しすぎたアプローチによって、『コンテンツ』をおろそかにしたところにありました。この描写は『ビジネスモデル主義の落とし穴』と『コンテンツ主義の重要性』を表した象徴的なシーンです。

現実の社会でも、近年革命的なビジネスモデルが次々と誕生しています。たとえば、シェアリングエコノミー、サブスクリプション、IoT、ストリーミング配信、キュレーションサイトなど。

しかし、ビジネスモデルばかりにスポットが当たっているものの、成功したモデルは質量ともに充実したコンテンツを有しているのです。メルカリやクックパッドのUIは、どこまでもユーザー目線に立って作り込まれていますし、NetflixやAmazonプライムはオリジナルコンテンツが豊富です。Adobe CCには他では得られないソフトラインナップがあります。

「ビジネスモデルに傾倒するあまり『コンテンツ』をおろそかにしてはならない」
これは物語のなかで伝説のマーケター『西城潤』が主人公に伝えたメッセージです。

 

エンタメ小説としても最高に楽しめる作品

ここまでマーケティング技法に関してのレビューを書いて参りましたが、この本は小説としても楽しめる作品です。張り巡らされた伏線、美しく躍動する文章表現、錯綜する登場人物たちの思惑、陰謀。極上の推理サスペンスであり、ギャング映画さながらの群像劇でもあり、疾走感溢れるエンターテイメント小説です。

『殺し屋のマーケティング』というタイトルも実はダブル、トリプルミーニングになっています。

「1人を殺せば10人が救われる」としたら。巨大なパラドックスの螺旋のなかを、登場人物それぞれの願いが駆け抜ける至高の物語です。

『殺し屋のマーケティング』
著者:三浦 崇典
出版社:ポプラ社
 

ライター : ユウキビート

oyako

1985年神奈川生まれ、仙台在住。
大学卒業後、不動産ディベロッパー、製薬企業を経て友人と独立。営業、経営、広告、DTPなどを担当。同時にライター/ブロガーとして活動を開始する。お笑い、競馬、ブラックミュージック、映画、漫画、小説が好きなおじさん。趣味は友達とアホな本を作ること。特技は物忘れ。海辺の小さな町でわんぱくな息子と愛犬に圧倒されながら暮らしている。

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