【外来種天国-日本①】外来種の何がイケナイ!? 野生動物のプロが教える、外来動物の問題と人間たちの大罪

外来動物天国ニッポン_イラスト1
記事内の写真 / 文:里中遊歩 
東京都東村山市在住。日本野生生物リサーチセンター代表。野生動物の調査の傍ら、著作活動や各講演会における活動、及びメディアへの出演や協力を行なう。主に哺乳類を軸とした動物全般の調査に重点を置いて活動。主な著書に「サトナカがゆく! ~風まかせ動物探索記」、「絶滅動物調査ファイル(『もしも』の図鑑)」など。

 

昨今、テレビや新聞などでも頻繁に目にすることが多くなり、大きな問題として取り上げられている『外来種』。一体『外来種』の何が問題で、どんな影響を及ぼすこととなるのか?

そこで【外来動物天国ニッポン】シリーズと題して、今後様々な外来種の動物たちを取り上げながら、ニッポンに入ってきた過程、そしてニッポンの生態系に与えるその影響力などについて、わかりやすくお話ししていこうと思う。

その導入・基本として、今回は「外来種とは何ぞや?」といったことについて、基本的な話をサクッとまとめたので、是非ご一読頂ければと思う。

そもそも『外来種』とか『帰化種』って、よく聞くけどなんのこと!?

まずは、そもそもの根本的なところからお話しをしていこう。よく『外来種』とか『帰化種』なんて言葉を耳にすると思うのだが、「ソレって一体ナニ?」ってなところから。

『外来種』というのは、元々その地域には棲息していなかったが、他の地域から人間によって持ち込まれた外来生物のことを指す。『移入種』なんて言い方をすることもある。この場合、「“人間によって”持ち込まれた」という部分がポイントだ。

仮に何らかの動物……、例えば本来はユーラシア大陸に棲息するユーラシアカワウソが、何を思い立ったか韓国から自分の意志で海を泳いで対馬辺りに渡ってきたとしたら、それは外来種とは呼ばない。あくまでも何らかの形で人間が介在することで、本来いる筈のない地域にいる筈のない生物が棲息してしまった場合にのみ、『外来種』と呼ばれることとなるのである。

その時、持ち込んだ人間たちに、その生物を持ち込む意思があったかどうかは関係ない。だから荷物に紛れて毒グモやネズミなどをうっかり連れて来てしまった場合も、それらはやっぱり外来種と扱われることとなる。

一方、『帰化種』とは何か?
実はコレ、意外と誤って覚えられてしまっている場合が多い。ネットなどでも誤情報が氾濫していたりするし。

人においても「日本に帰化する」などという表現でも使われることからか、「外来種としてやって来て定着したけど、特にニッポンの生態系を壊すことなく在来の動植物と共に平和に過ごせているものは帰化種と呼ぶのだ」などと勘違いしている人が少なくない。

いやいやいやいや、ソレ全然違うから。全く逆だから。
ホントのところは、「自然環境のある地域に定着(繁殖を繰り返してその種が絶えないこと)した外来種の中で、その地域の生物多様性を変化させ脅かす可能性のある種」のことを指す。『侵入種』なんて言い方もあったりする。

つまりは、ニッポンに定着してしまった外来種のほとんどは帰化種とも呼べるってことだ。その地域の生態系に全く影響を及ぼさないなんてことは、ほぼあり得ないのだから。

 

『特定外来生物』? ナニそれ、美味しいの?

そんな外来種の中には、『特定外来生物』と呼ばれる連中も存在する。
残念ながら美味しいとか不味いとかは関係ない。

外来生物の規制や防除に関するニッポンの法律のひとつで、正式には『特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律』と呼ばれるものが、2005年(平成17年)6月に環境省によって施行された。

そこで「生態系や人体、農林水産業に悪影響を与える恐れがある国外由来の種について指定」されたものが『特定外来生物』となる。

内容というか目的としては、「その飼養、栽培、保管、運搬、輸入等について規制を行うとともに、必要に応じて国や自治体が野外等の外来生物の防除を行うことを定める」とある。ああ、判りにくい。なんでこう、わざわざ回りくどく書くのかなあ。もっと誰が読んでも理解できるよう、判りやすく書こうよ。

まあ簡単に言うと、「特に厄介な外来生物を名指しで指定したものが特定外来生物で、ニッポン国内でなんとかこれ以上増加して欲しくないから、色々と掟をつくって規制するのだ」ということ。

その規制の内容としては、「輸入や販売は勿論、飼育・繁殖や栽培するなんてのもダメですよ」ってことだ。違反すると、個人の場合は懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金が科せられる。おお、怖い怖い。

ってな話を、以前どこかのトークイベントで喋っていたら、「ボク、ちょっと前にお店でミドリガメ買ったんですけど、ミドリガメって色々と外来種として問題になっていますよね? ってことはそれも特定外来生物? ってことはボクも罰せられるの?」と潤んだ瞳の小学生男子に訊ねられたことがある。

うん、確かにミドリガメは問題のある外来生物の急先鋒的立場にあるよね。

ニッポンの河川でワガモノ顔のミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)

ニッポンの河川でワガモノ顔のミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)

でもね。実は彼らが指定されているのは特定外来生物ではなく、『生態系被害防止外来種』ってヤツなのだ。コレも特定外来生物同様に悪影響を及ぼす生物を対象に指定されるのであるが、現時点(2017年10月現在)では販売や飼育などは禁止されていない。

なぜならば、下手に特定外来生物に指定してしまうと、ニッポン中のペットを扱う業者が大混乱となり、中には心ない業者などが「もう売れないから」と在庫のミドリガメを大量に、更に野に放ってしまったりする危険性もあることから、指定したくても指定できないという状態になってしまっているのである。

だからといって行政として建前があるし何も策を打たないワケにもいかないので、苦し紛れに、尤もらしく聞こえそうだけど今ひとつ焦点のぼやけた『生態系被害防止外来種』などというものをつくってお茶を濁しているという経緯があるのである。

なんだかなあ……。

 

何故に『外来種』が問題になるのか!?

これまた難しいことを言わずにひと言で簡潔に言うのであれば、「基本的に外来種の方がニッポンの動物たちよりもデカくて強いから」という表現が一番判りやすいであろう。

外来動物天国ニッポン_イラスト2

「何故に外来種の方がデカくて強いのだ?」と問われるのであれば、ニッポンは島国で、『井の中の蛙、大海を知らず』ということだ。

と言うのもニッポン列島は、凡そ40万年前くらいから大陸とくっついたり離れたりを繰り返し始めた。それはつまり、動物たちのニッポン列島への出入りが、多くの動物たちにとって制限されたということだ。そして約1万年前に大陸と分離して今のような形となり、ニッポン列島に棲む動物たちは小さなスペースに完全に隔離されることとなったのだ。

勿論その中では、相応の生存競争も日々営まれたであろうが、大陸のそれと比較すれば、その数も種類も少ないことから、然程に厳しいものではなかった筈だ。早い段階でそれぞれが落ち着くところへ落ち着き、そうこうしてニッポン独自の生態系というものができあがったのであろうと推測される。そして数十万年という時の流れの中で、それぞれが自身の能力を大して高めずとも、生き抜いて来られたのである。

一方、その頃の大陸では、日々それはそれは激しい種の存続争いが繰り広げられ、また広大な土地を有するという利点を活かし、様々な形での驚くべき進化が促されてきた筈だ。そんなもの、小さな島国でのんびり生きてきた動物たちが、熾烈な生存競争を乗り越えてきた大陸の動物たちに適う筈もなかろうぞ。

つまり、基本的にはニッポンという孤立したぬるま湯体質の空間で暮らす日本固有の動物たちというものは、大陸に育まれて進化してきた動物たちよりも弱い場合がほとんど、というワケだ。

そんなこんなで、外来生物がニッポンに大挙して押し寄せてしまうと、日本固有の動物たちの居場所がどんどん減少していってしまい、いずれは滅びてしまう可能性も高い、という辺りが一番大きな問題点となるのである。

 

一体全体、誰が悪いのだ!?

ひとつ、決して間違ってはいけないのは、彼ら外来生物たちは何ひとつとして悪いコトは全くしていないということ。

彼らだって被害者なのだ。自ら「ニッポンに行きたい」とか言って連れて来てもらったワケではなく、何だかよく判らんうちに連れて来られて、その上勝手に野に放たれて、「元気に暮らせよ! アバヨ!」とか言われてしまっただけなのだ。そうしたら彼らだって生活がかかっているから一所懸命に生きていかねばなるまい。本当は「クニに帰りたいよう」などと毎晩枕を濡らして生きているのかもしれない。

つまり、外来種問題について言えるのは、その種を蒔いた私たち人間が、唯一悪いということ。

どうも最近のメディアなどの報道や記事を見ていると、一番大切なその部分をすっかり棚に上げて、「この外来種はこんなに怖い」とか「あの外来種はニッポンの生態系を壊すワルモノだ」などといったことばかりを声高に正義面して叫んでいるようだが、どのクチが言うとるねん。

私たちニッポン人に、そんなこと言える資格など微塵もない。勿論、稀少な在来の動物たちに忍び寄る影響ははかり知れない。それこそ影響力の強い外来種によっては全頭駆除(この駆除って言葉も、なんか上からな印象で大嫌いだなあ)が必要になる場合もあるであろう。そこは否定はしない。

でもね。「悪いヤツた! やっつけろ!」的なノリでやっていちゃダメ。

仮に何らかの外来生物を大掛かりに完全駆除できたとしても、またすぐ新たな別の種類の外来種にすり替えられるだけである。

特に一部では、子どもたちを巻き込み、ボランティア活動などの一環として「ワルモノ退治」的な見せ方の外来種駆除活動を行なうところもあるようだが、それはどうなんでしょうかねえ。考え方違うんじゃない? そんなもの、ただの自己満足でしかないよね。自己満足の為に、子どもたちを利用するんじゃない、と強く訴えたい。本来ならば、捕獲しなくてはならない外来生物たちに対して、ニッポン人全員が心底「ごめんなさい」という気持ちを強く持ちながら、自分たちのこの過ちを二度と繰り返さないという覚悟で臨まなければならない筈だ。

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そう言うと「オレは外来種を放したりしないから、オレに責任はないもーん」とか他人事のように逃げようとする輩がたまにいるが、そんなものニッポン人としての共同責任じゃい。言い訳するでないわっ、見苦しい!

そして可能な限り、彼らの命を無駄なものにしない為にも、捕獲した外来動物は「食べる」ことをオススメしたい。不味かろうが最優先で食べる。それによって不要となる筈の、在来の野生動物たちの狩りや漁は自重する。それが私たち人間にできる、最大限の反省であり、彼らに対する敬意、そして謝罪となるのだ。

極論なのかもしれないが、そのくらいの気持ちを持たないと、きっと何も変わらない。

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ライター : 里中遊歩

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東京都東村山市在住。日本野生生物リサーチセンター代表。音楽ディレクター、広告プランナーなどを経て、現在では野生動物の調査の傍ら、著作活動や各講演会における活動、及びメディアへの出演や協力を行なう。主に哺乳類を軸とした動物全般の調査に重点を置いて活動。「日本に棲息する外来種生物」や「東京都内に棲息する動物たち」を中心に調査を行なう。主な著書として、「サトナカがゆく! ~風まかせ動物探索記」(全国農村教育協会)、「絶滅動物調査ファイル(『もしも』の図鑑)」(実業之日本社)など。

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