【最強最悪】野生動物のプロも怯えるスズメバチ! 怖いのは夏より秋口の今! 刺されない為の対策&刺された時の対処法とは

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記事内の写真 / 文:里中遊歩 
東京都東村山市在住。日本野生生物リサーチセンター代表。野生動物の調査の傍ら、著作活動や各講演会における活動、及びメディアへの出演や協力を行なう。主に哺乳類を軸とした動物全般の調査に重点を置いて活動。主な著書に「サトナカがゆく! ~風まかせ動物探索記」、「絶滅動物調査ファイル(『もしも』の図鑑)」など。

暑さが和らぎ、秋の声が聞かれ始める頃、最も活性化して危険なのがスズメバチ。

というワケで今回は、毎年何十人もの死者を出すと言われるスズメバチの一体何がどのように危険で、またどのように対策を練っていけば良いのか? といったことについてお話ししていきたい。

 

スズメバチが最恐最悪な理由 Part.1

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動物調査などでしょっちゅう山に入る仕事をしている手前、よく質問されるのが「ニッポン国内の野山里山を歩いていて、里中さんが一番出遭いたくない怖いイキモノってなんですか?」というもの。つい先日もうら若き女性から質問されたな。

山で一番出遭いたくなくて怖いイキモノと言えば、何をさておき真っ先に思い浮かぶのは『ニンゲン』なのだけど、きっと彼女はそんな答えを期待しているワケじゃないだろうから、野生動物に絞って答えることにしている。

「うーん。まあやっぱりスズメバチだねえ。」

「えっ? スズメバチなんですか?」

「ん? そうだけど……?」

「えー、なんか意外―。もっとクマとかオオカミとかそーゆーおっきい動物なのかと思ってたあー。」

うん、オオカミはいないね。むしろ逢えるものならば逢いたい、添い寝したい。

クマも、前にもここで書いた通り、つきあい方さえ間違わなければ、基本的にそれ程怖れる必要のない相手なのだよ。てゆーか、彼らに逢いたくて山に入っとるねん、オレら。

「でもなんでスズメバチなんですかぁ?」

意外としつこいね、アナタ。
クマなどの哺乳動物の場合、一度ロックオンされたらアウトだけど、基本的には余程のことがない限り、いきなり襲ってくるようなことはない。
それに、同じ哺乳動物であることからも、その表情やしぐさなどから、ある程度の心理状態は読み取ることができるし、先方もコチラの心理状態をある程度は読み取ろうとするので、敵意がないと判ればわざわざ本気で向かってくることは少ない。まっ、それなりに意思疎通がはかれなくもない、といったところだ。

でもね。スズメバチは違う。表情読めない上に、気がついたらいきなり戦闘モードだったりするのだ。全く意思疎通なんてできない。「いや待て、違う! 話せば判る!」とか言っても通じないのだ。
しかも数に物言わせて束になってかかってくるし、シャレにならない毒を持っている。

いやあ、少なくとも私にとっては、最恐最悪のイキモノなのだ、スズメバチは。

 

スズメバチが最恐最悪な理由 Part.2

『スズメバチ』とは、昆虫綱ハチ目スズメバチ科スズメバチ亜科に分類される昆虫の総称だ。
ニッポンには16~17種類が棲息しているとされ、中でも特に、オオスズメバチやキイロスズメバチ辺りが、秋口のニュースや新聞記事を賑わすことが多い。

そもそもニッポン国内で考えた場合、最もヒトを殺す頻度の高い野生動物と言えば、恐らくこのスズメバチなのだ。
厚生労働省が発表している『ハチ刺傷による全国の死亡者数』というデータを確認したところ、21世紀以降、2001年から2015年まで毎年平均で20.2名が死亡している。
それ以前、1983年から2000年までの18年間に至っては、実に657名、毎年平均36.5名が死亡していたのである。
これらはスズメバチだけではなく、アシナガバチなどによるものも含んだデータであるが、大半(7~9割)はスズメバチによる刺傷だと考えて良いであろう。
いずれにせよクマなどでは全く太刀打ちできないくらいに、毎年多くの犠牲者を出しているのである。

そしてそのスズメバチの毒がまたエゲツナイ。
痛みの素となる神経毒であるアセチルコリンやセロトニン、また血圧低下やアレルギー症状の原因となるホーネットキニンやマストパラン、組織障害や赤血球破壊の原因となるホスホリパーゼやプロテアーゼなど、多様多種の物質の混合物からできており、『毒のカクテル』などをいう全く美味しそうじゃない異名までつけられている。

そんなこんなの『毒のカクテル』なものだから、刺された際の症状も人によって様々なものとなる。
刺された箇所が腫れたりするのと同時に、頭痛に腹痛、発汗、吐き気、目まい、貧血、蕁麻疹などなど、といった症状が現れたら要注意だ。
一度は聞いたことがあるであろう、アナフィラキシーショックというアレルギー反応である可能性も否定できない。
スズメバチ(に限らずハチ毒全般)の刺傷によるアナフィラキシーショックは発症期間が10~15分と非常に短い。よって、極力すぐに病院に行って治療を受けることをオススメしたい。それでも間に合わずに亡くなってしまう人も少なくないのであるが……。

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一般的に、「ハチに2回以上刺されてしまうとアナフィラキシーショックを発症してヤバいらしい」などと言われている。
簡単に書くと、一度刺されることで体内にハチ毒に対する抗体ができてハチアレルギーとなってしまっている為、再度刺されるとそのアレルギー反応が出てしまう、ということだ。
一説によると、一度刺されることでハチ毒に対する抗体ができてしまう確率は10%前後、そして再度刺されて命にかかわるくらいの強いアレルギー反応を起こしてしまう可能性のある人は2~3%前後と言われている。
つまり1000人に2~3人くらいの人が、酷いアナフィラキシーショックを発症して生死を彷徨ってしまう可能性が高いということだ。

また、だからと言って決して「一度目ならば大丈夫」とか「自分はいつも宝くじとか外れてばかりだからその1000分の2~3に選ばれる筈がないので大丈夫」とかいうことではない。
実際に一度刺されただけでもアナフィラキシーショックになって亡くなってしまった人もいると聞くし、集団に襲われて何十箇所も刺されてしまうと、多臓器不全などを発症して死亡してしまうことだってあり得るのだ。
ともかく、極力刺されないように気をつけなければならないものなのである。

 

何故に秋口のスズメバチが最も危険なのか?

結構知らない人も多いようだが、スズメバチの寿命は基本的に一年だ。冬を越すことができない。女王バチも然り。

唯一越冬することができるのは、前年の晩秋に巣立った新女王バチのみ。
巣に残る他のハチたちは、女王バチも含めて全て息絶えてしまう。新女王バチと共に巣立った雄バチたちも、交尾が終わるとその一生を終える。

つまり春先、新女王となったスズメバチは、まず一匹からその女王人生を開始することとなる。
女王自らが巣づくりに適した場所を探して、女王自ら巣づくりを行ない産卵~幼虫の世話をする。
働きバチが少しずつ羽化し始めて、ある程度の数になると、ようやく女王は女王らしく産卵活動に専念できるのであるが、それまでは人知れず苦労をしているのである。
ニンゲンのように親の脛かじって下積みなしで豪勢な暮らしができる程、動物の世界は甘くないのだ。

だから春先から初夏にかけてのスズメバチについては、然程に怖れる必要はない。
スズメバチ一家にとっても、一家の戦力がまだ充実しているとは言えない状態の為、その数をなるべく減らしたくはない。無駄にその命を懸けて攻撃してくるようなことはないのだ。
勿論、自分たちが直接攻撃に遭ったりした場合には反撃してくるが、基本的にはコチラが余程目に余るちょっかいを出したりしない限りは襲ってくるようなことはない。

ところが真夏……、大体お盆を迎える頃から状況は一変する。
一家の戦力が充実し、今度は新女王をしっかり育てて秋には巣立ちをさせなければならなくなる。
新女王の数は、スズメバチの種類によっても違ってくるのであるが、ひとつの巣の中で概ね数十~数百匹。キイロスズメバチなどに至っては、1000匹を超える場合もあると聞く。
そうすると、彼女らを育てる為の食糧を充分に捕獲してこなければならない為、働きバチたちの活動も更に活性する。また新女王を護る為に、巣の周辺の警備がより厳重となる。
そして少し暑さが緩み始める9~10月ともなると、ラストスパートとばかりになりふり構わない活動が最盛期を迎えるのだ。

うっかり彼らの巣の周辺に足を踏み入れてしまったりした日にゃあ、即座に時速30~40kmのスピードでブウーンとやってきて、上空でホバリングしながら顎をカチカチと鳴らして威嚇音を発する。
「いやちょっと待て! 別に君たちの巣をどうこうしようってんじゃないのだ! こっちはただの通りすがりのしがない五十路オトコなのだ!」などと言い訳してもヤツらには全く通じない。

しかもヤツらの攻撃は、その毒針で刺すばかりではない。
空中から毒液を散布してくることだってあるのだ。
空中から散布されたその毒液は、皮膚に触れれば炎症を起こす場合もあり、また目に入れば失明してしまう恐れさえある。
そして更に怖ろしいことに、その散布された毒液には警報フェロモンの働きもあり、その匂いを嗅ぎつけた別のスズメバチたちがドドドと集結してきて、一斉に襲われてしまう危険性も高い。

しかもしかも。ミツバチなどとは違って、スズメバチは一匹が何度でも刺すことができるし、一度刺したからって死ぬことはない。

もうね。秋のスズメバチはやっぱり最恐最悪なのである。

 

果たして対策法はあるのか?

予防法としては、もうとにかく巣に近づかないことだ。
巣から10m以内に入ってしまうのはかなり危険、5m以内に入るのはもう自殺行為だと思って頂きたい。

だから秋にスズメバチと出遭ってしまったら、まずそこから先へはなるべく進まないこと。
間違っても手で払ったりしてはならない。攻撃されたと見なされて反撃してくること必至である。

またどうしても先へ進まなければならない場合には、必ず巣の位置を把握して、そこには近づかないよう迂回しながら進むべきである。

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とは言え、巣もなかなか簡単に見つかるものではない。
特に攻撃的で毎年多くの刺傷被害が報告されるのが、キイロスズメバチとオオスズメバチ。
キイロスズメバチなどは大きな巣を軒下や橋の欄干、木の枝などにつくることも多いのでまだ見つけやすいが、オオスズメバチは巣を樹洞の中や地中につくることが多く、一般の人には巣を見つけるのが困難な場合も少なくない。

そこでどうしても進みたい場合には、スズメバチを見かけたら、まずはその場でそっと腰を下ろす。そしてそのスズメバチの動向をじっくりと伺うのが良いであろう。勿論、「スズメバチがコチラに対して警戒姿勢を取っていない場合」前提だ。
巣が近くにあれば程なく巣に戻っていったり、また別の働きバチが巣から出てくる姿を見られるであろうから、そこを大きく迂回して通過するのが良いであろう。

ただ、先程も書いた通り、なるべくならば近づかないに越したことはない。

また、山に入る際などは、なるべく白を基調とした服装を選ぶのが良いであろう。
黒い色や花柄のついた服などは、スズメバチを無駄に興奮させてしまうこともあるので避けたい。だから頭髪部分も、なるべく白っぽい帽子などを被って隠すのが良い。
そして香水などの匂いの強い化粧品もNG。どんな匂いに強く反応するのか、などの詳しいことを書き始めると止まらなくなるので書かないが、いずれにせよ刺激臭を放ちながら山に入るのは自殺行為なのである。
だから果物や肉など、匂いの強い食べ物を持参するのも避けた方が良いであろう。

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それでも、うっかり意図せずに襲われてしまうことだってあるかもしれない。

一度ロックオン~攻撃されてしまうと、そこから逃げ出すのはなかなか大変なのであるが、とにかくヤツらをそれ以上興奮させないよう、なるべくそっと逃げるしかない。その時、大声を出したり、いきなりダッシュしたりすると、余計にヤツらを興奮させてしまうこともあるので注意が必要だ。
通常は巣から50m程度離れれば、そこからはもう追ってこないと考えられている。間違っても反撃しようなどと考えないことだ。すぐに援軍も現れて、ボッコボコにやられる末路が私には鮮明に見透かすことができる。

刺されてしまった場合には、まず傷口を水でよく洗い流し、その上でポイズンリムーバーと呼ばれる毒の吸い出し器具で毒を吸い出すのが良いであろう

「オシッコをかけると良い」などと主張する人もいるようだが、それは都市伝説だ。全く効果がない。

むしろオシッコの雑菌で皮膚炎などを引き起こしてしまう可能性の方が高い。

その上で、虫刺され薬を塗布する。
抗ヒスタミン系成分を含有するステロイド軟膏、例えば個人的には『ムヒアルファEX』などがオススメだ。

そして、傷口を冷やしながら早急に病院へ行って受診することが大切となる。

いずれにせよ、秋のスズメバチにはなるべく近づかないこと。
それこそが最善にして唯一の対策法なのである。

「そんなの当たり前じゃんかっ!」などとツッコミを入れられてしまいそうであるが、仕方がない。
だって秋のスズメバチって、ホントに最恐最悪なんだもの。

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ライター : 里中遊歩

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東京都東村山市在住。日本野生生物リサーチセンター代表。音楽ディレクター、広告プランナーなどを経て、現在では野生動物の調査の傍ら、著作活動や各講演会における活動、及びメディアへの出演や協力を行なう。主に哺乳類を軸とした動物全般の調査に重点を置いて活動。「日本に棲息する外来種生物」や「東京都内に棲息する動物たち」を中心に調査を行なう。主な著書として、「サトナカがゆく! ~風まかせ動物探索記」(全国農村教育協会)、「絶滅動物調査ファイル(『もしも』の図鑑)」(実業之日本社)など。

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