【誰がアパレルを殺すのか】変化に対応しきれないファッション大手……アパレル業界の衰退と将来の行く末とは?

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「自分の好きな店が閉店していた」
「最近大手アパレル会社でリストラのニュースをよく聞く」

そういった方も多いのではないでしょうか。

国内のアパレル業界は、私たち一般の消費者にもそのヤバさが伝わってくるほど、危機的状況にあります。

2015年から2016年に、アパレル大手4社が閉店を決めた店舗数は1600以上にのぼり、大手アパレル企業は次々に希望退職をつのっています。なぜ、こんなことになってしまったのでしょう。

 そういったアパレル業界の今を知るヒントとなるのが、2017年5月に発売された『誰がアパレルを殺すのか』です。
本書では、日本のアパレル業界のサプライチェーン(原料の調達、製造、在庫管理、販売、配送を含む全体的な流れのこと。つまり、洋服を作りそれが消費者に届くまでの流れ)を取材・分析することで、業界の現状があきらかにされています。

日本のアパレル業界が衰退している2つの理由

出典:shutterstock

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日本のアパレル業界が衰退している理由は多岐にわたります。今回は『誰がアパレルを殺すのか』をテキストに、2つの理由をご紹介します。

 

(1)中国に依存しすぎている

人件費が割安になることから、日本のアパレル企業であっても縫製を中国に外注している企業が多いことはご存知のことかと思います。

人件費が安いから、と中国に頼り切りだった日本のアパレル企業ですが、ここ数年、中国経済の成長によって、人件費の高騰が進んでいます。

「そろそろ潮時なのかもしれないな」中国・上海の近郊で、日本向け衣料品(アパレル)の縫製工場を経営する加藤康太さん(仮名)は力なくつぶやいた。(略)上海市の最低賃金は2006年に月750元(約一万2350円、一元=15円計算)だったが、2016年には月2190元(約3万2850円)と3倍近くに上昇した。加藤さんの縫製工場も状況は同じで、2006年頃は月2000元(約3万円)だった従業員の平均賃金が、2016年には月4500元(約6万7500円)近くにまで上がっているという。

(P.32〜33より引用)

中国の人件費があがっているなら、他の国で……とはなかなか簡単にはいきません。ラオスやバングラデシュなどは現時点では中国よりも人件費は安いのですが、インフラや物流、スキル、などの問題で中国の代わりにはなり得ないということです。仮に中国の代わりにラオスなどの人件費の安い国に工場を移したところで、その国が発展するに伴って人件費が上がることは避けられないので、根本的な解決にはならないでしょう。

また、価格を抑えることを重視し、生産を海外にゆだねすぎたために、商品のクオリティが下がり、結局ブランドのファンから見放されてしまう、という悪循環も引き起こしています。

 

(2)販売員の待遇が悪い

アパレルの販売員は、かつては華やかなイメージのある人気の職業でした。ですが、実際の現場は待遇が悪く「使い捨て」にされているケースが多いため、「アパレルはブラックだ」といった認識が広がっていると著者は指摘します。

ファッション業界専門の転職支援サービス、クリーデンスによると、販売員の平均年収(2016年)は25歳~29歳で292万円。35歳~39歳でも354万円までしか増えず、日本全体の平均給与である年420万円(2015年、国税庁調べ)には届かない

(P.58より引用)

給与が低いことに加え、アパレル店員は社員割引はあるとはいえ、自社の服を買いとる必要があり、常に最新のファッションで現場に立たなければならないため、出費もかさみます。

さらに
・休日が少ない
・立ち仕事(女性の場合はヒールのことが多い)
・キャリアパスが描けない
・売り上げノルマがきつい
・人材育成や評価基準が整備されていない
などの問題もあります。

こういった待遇の悪さは、近年に始まったことではないと著者は指摘します。

見誤ってはいけないのは、アパレル業界は不振に陥ったから、現場が“ブラック”になったのではない。何十年にも渡って、現場の販売員を使い捨てにする風潮を放置し、彼らの存在を軽視してきたために販売力がそがれ、業界不振の原因になったのだ。

(P.67より引用)

 

アパレル業界に未来はあるのか?

出典:shutterstock

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ここまでアパレル企業の不振の原因について「中国に依存した生産体制」や「販売員の待遇の悪さ」を紹介してきましたが、本書ではこれ以外にも「消費者の意識が大きく変化していったことにアパレル業界がついていけなかった」こともアパレル業界の不振の原因となっているなど、多数の原因が指摘されています。

謙虚なのは若者のファッションに対する意識の変化です。「新しい安い服を次々に買う」、ことにステイタスを感じなくなった若者たちは、中古の服を買うことや、誰かが着た服を着ることも躊躇なく行うようになりました。そういったニーズにいち早く気が付き、成功を収めている企業がメルカリやZOZOTOWNだと著者は言います。

また、中国への生産の依存など、これまでのアパレル業界の流れから脱却したことで成功を収めている企業も少なからず存在しており、本書ではその代表格として、新興セレクトショップTOKYO BASE(トウキョウベース)を紹介。

トウキョウベースが販売している「ユナイテッドトウキョウ」というブランドでは、高度な技術を持つ国内工場と直接取引を行い生産しています。もちろん、原価率は上がりますが、発注時期をぎりぎりまで引っ張ることで(中国に依頼する場合は半年前に発注する必要がありますが国内生産ですとその必要はありません)、そのときどきにあった流行なども取り入れ、需要にマッチした商品を作ることができ、売れ残りを減らし、利益率の高さにつなげています。また同社では、販売員に対しても、売り上げに応じたインセンティブを支給し、待遇の向上に努めています。こうした取り組みのおかげで売り上げは伸び、2015年9月に東証マザーズに上場、その後わずか一年半で東証一部上場、と輝かしい業績を収めています。

日本のアパレル業界全体の業績が伸び悩んでいることは厳然たる事実です。アパレル業界を立て直すためには、時代の空気と消費者のニーズを読みながら、従来の体制からの大胆に変革が求められるでしょう。

『誰がアパレルを殺すのか』
著者:杉原 淳一、 染原 睦美
出版社:日系BP社

ライター : 今来 今

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