【東北旅】写真家「星野藍」が男鹿半島で見た、リアルなまはげの美しさと歴史のミステリーについて

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文:星野藍
グラフィック&UIデザイナー、写真家、書道家。福島県福島市出身。従姉の死、軍艦島へ渡った事をきっかけに廃墟を被写体とし撮影を始める。2016年『チェルノブイリ/福島 ~福島出身の廃墟写真家が鎮魂の旅に出た~』(八画文化会館)上梓。

行ってみたいけど行った事のない場所、男鹿半島

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日本は狭いようで広く、そして深い。行ってみたいけど行った事のない場所、行く機会がない場所というのは、各人かなりの数があるように思う。

自分にとって男鹿半島はまさにそんな場所のひとつだった。7月の夏休みを利用し、念願の男鹿半島に行く事が出来た。男鹿市に入ると嫌でも目に飛び込んでくる大きななまはげ像にテンションが上がる。

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ついに男鹿半島へやってきた!

この二体のナマハゲのいる道の駅で昼食を摂る。地元野菜をふんだんに使用した野菜料理中心のバイキングだ。とれたて野菜も気になるところだが、今買っても家に帰る頃にはなんせこの暑さ、痛んでダメになってしまう。泣く泣く購入を諦めた。

 

真山の万体仏(しんざんのまんたいぶつ)

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まず最初に向かったのは真山の万体仏。なまはげ館に向かう途中にある小さなお堂だ。うっかりすると通り過ぎてしまう慎ましい装い。

しかし中に入ると、三間四面の壁から屋根裏まで一面にぎっしりと安置された小さな地蔵菩薩、その圧倒的な数に驚かされる。

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これが万体仏だ。

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江戸時代中期の僧・普明により伝えられたとされている。

普明は不幸な死を遂げた愛弟子の菩提の弔いと、幼くしてこの世を去った子供たちの供養のために仏像を彫り続けたという。その数なんと一万三千体。

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見ているとその果てしなさに吸い込まれそうになる。

 

迫力のなまはげ

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万体仏からほど近い、なまはげ館。男鹿に伝わる歴史のミステリーとなまはげの全てにふれられる空間というキャッチコピーのまま、なまはげを堪能出来るなかなかに濃ゆい資料館だ。

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様々な貴重な資料もいいが、一番の見モノは何と言ってもダイナミックすぎるなまはげの展示だろう。

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男鹿市内各地で実際に使われていた110体&40枚(計150枚)の多種多様ななまはげ面を惜しむ事なく展示している。

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実際、子供時代になまはげに追いかけられたりでもしたら、一生のトラウマになりそうだ。

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男鹿のなまはげ行事は国重要無形民俗文化財に指定されている。毎年大晦日の晩に男鹿半島のほぼ全域で行われる。

なまはげは真山・本山に鎮座する神々の使者とされ、年に一度各家庭を「怠け者はいねが。泣く子はいねが」と巡り練り歩く。悪事に訓戒を与え、厄災を祓い、豊作・豊漁・吉事をもたらす来訪神として持て成される。男鹿では欠かせぬ伝統的民俗行事だ。

 

999の石段となまはげ伝説の残る場所

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なまはげの起源は諸説あるが、その中のひとつにこんな伝説がある。

“昔、漢の武帝が連れてきた五匹の鬼たちが、作物や娘たちを略奪するなど村を荒らし村人たちは困り果てた。

村人たちは「一晩で五社堂まで千段の石段を積み上げる事が出来れば娘を差し出す、出来なければ村を出ていく」という約束を鬼たちにさせた。

しかし鬼たちはあっという間に999段積み上げ、夜が明ける前にあと一段というところまできてしまった。

しかし機転を利かせた村人が、鶏の鳴き真似で夜明けを告げると、それを聞いた鬼たちは驚いて逃げ去り以後二度と姿を現さなくなったという。”

男鹿の民宿に一泊した私たちは、夜明けと共にその伝説の地を目指し出発した。

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鳥居をくぐり、山道を行く。そして恐らく999段あるであろう石段を登っていく。

雨上がりの山道は落ち葉が湿り、それが石段に張り付き非常に滑りやすくなっていた。おまけに霧深く辺りは静寂に包まれている。今にも物の怪の類が出てきそうな神秘的な雰囲気に感動を覚えるも、静謐な湿気が身体中に纏わり付き蒸し暑さに根を上げそうになる。

「水持ってくるの忘れた……」

致命的なミスを犯す。しかし戻るに戻れない、ここまで来たのなら。

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石段を登りきった先にある五社堂。正式名称は「赤神神社 五社堂」といい、祀られているのは両親と三人の子供であるなまはげと言われている。

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深く立ち込める霧は引く気配もない。晴れ渡る空の下の五社堂も見たかったが、これはこれで美しい。

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来る事が出来て本当に良かった。天気が崩れるとの予報もあったが、自分たちの日程には差し支えがなく、男鹿に残る民俗風習を実に堪能する事が出来た。

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別れはいつだって、名残惜しい。

 

興味深い東北地方

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今回は男鹿だけでなく、山形の民俗的風習も求めて旅をした。東北地方はとにかく広く、短い夏休みではとてもじゃないがいっぺんに回る事など到底不可能だ。

青森、岩手、宮城、そして我が故郷福島にも、まだ目にしていない興味深い物や事が数多く残っている。いつかそれら全てを目にし、肌で感じたい。東北への興味は尽きる事がない。

ライター :星野 藍

星野

グラフィック&UIデザイナー、写真家、書道家。福島県福島市出身。従姉の死、軍艦島へ渡った事をきっかけに廃墟を被写体とし撮影を始める。
2016年『チェルノブイリ/福島 ~福島出身の廃墟写真家が鎮魂の旅に出た~』(八画文化会館)上梓。廃墟の他怪しい場所やスラム街、未承認国家にソビエト連邦など、好奇心の侭に国内外を縦横無尽に徘徊する。

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