【7月26日は幽霊の日】女性廃墟カメラマンが語る、廃墟であった怖い話 「終わらない葬式の家」「温泉街のソープランド廃ホテル」

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文:星野藍
グラフィック&UIデザイナー、写真家、書道家。福島県福島市出身。従姉の死、軍艦島へ渡った事をきっかけに廃墟を被写体とし撮影を始める。2016年『チェルノブイリ/福島 ~福島出身の廃墟写真家が鎮魂の旅に出た~』(八画文化会館)上梓。

夏休みが始まりましたね。

私のライフワークのひとつである、廃墟探索(廃墟撮影)。
カタギのお友達(※注)に廃墟が好きなんです、と言うと必ず言われるのが

「廃墟って怖くない?」
「廃墟って汚そう。」
「てゆかおばけ出そうだし。」

……この3点セットだ。
どれもこれも、そうじゃないと言ったら勿論嘘になる。怖いし汚い。
そしておばけはと言うと…。そうだ、折角の夏休み、普段余り表では話さない『怖い話』をこの機会にしてみようかと思う。

※注 ここで言う『カタギ』というのは、ニッチで変な趣味を持たない健全なお友達の事を言う。

 

1.【終わらない葬式の家】軽い気持ちで廃墟で撮った写真が衝撃の心霊写真だったお話

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かつて、茨城県某所に『荒川沖の廃墟』と呼ばれる廃屋があった。

『権東の家』とも呼ばれるそこは、葬儀の後そのままにされたのであろう帯が掛けられた遺影が残る為、心霊マニアからは『終わらない葬式の家』とも呼ばれていた。
廃墟を撮り始めた頃、インターネット上で見るおどろおどろしい残留物に惹かれ、どうしてもそこへ行ってみたくなった。

ただ、田舎とは言え住宅地。それも何故か広い畑のど真ん中にある廃屋という非常に目立つ立地条件。これは一度夜中に調査をし、後ほど昼間に探索をしてみようという話になった。

丑三つ時。――その日は、冷たい雨の降る冷たい夜だった。
私と友人は、仕事終わりに飯を喰らいその足取りで荒川沖の廃墟へと車を飛ばした。

都内からは程近く他愛も無い与太話をしている内に1時間程で到着してしまった。人気の無い脇街道に面した空き地に車を停め、片手にビニール傘片手にハンドライトで目的の物件へと歩いていく。

「あれかな。」

元々はそこそこモダンで綺麗な住宅であったのかもしれない。しかし目の前のそれは屋根の一部が崩れ落ち、部屋内にある本が外にまで流れ出ている始末だ。粗大ゴミから生活ゴミまで様々なゴミも蓄積されている。扉という扉、窓という窓は木材で目張りされ、外部からの侵入者をしっかりと拒んでいる。

「何処か空いている場所ないかな。」

とは言うものの結局何処も空いていない。仕方が無いので侵入は諦め、外観の写真だけを数枚撮り撤退する事にした。

「残念だったね。」

インターネット上で見られる内部の写真は、家財道具が殆ど残されまるで一家が神隠しにでも遭ったかのような様子だった。そういった廃墟を当時は見た事がなかったので非常に興味深かったのだ。

「そうだ、さっきの写真見てみようよ。」

廃墟からファミレスへ移動した私たちは、ドリンクバーと牡蠣グラタンとポテトをつまみながら撮ったばかりの写真を確認した。

――あれ? 不可思議な写真が撮れている。

何気なく外観の全景を撮っただけの写真だが、端の方にシュッと何かが横切ったような光が写っている。

「なにこの光。」
「わかんない……。」

それより問題は、次の写真だった。

「……。」

窓越しに、廃墟の内部を撮った写真。
誰もいない、何もいないはずの廃墟。

しかしそこには、無数の顔が写り込んでいた。

一番手前側には、女性の大きな顔が見える。心なしかこちらを睨んでいるようにも見え、誰が見ても分かる恐ろしい写真が撮れてしまった。

「これ……心霊写真だよね。」
「だね。」
「どうする?」
「とりあえずSNSに載せてみようよ。」

今ならそんな軽率な事は絶対にしないのだが、当時浅はかすぎた自分たちはあろう事かそれら心霊写真をSNSに載せてしまった。

「おい志村! 後ろー!」「やばい、本当に写ってる!」「この柱に写ってるの顔?怖い!」など、思った通りの反応があったのが、正直とても楽しかった。

しかし暫くして、友人たちの反応が変わってきた。「普段霊感とかないから分からないけど、この写真は本当にやばい気がする。」「ねぇ、本当に大丈夫?」「これ消した方いいんじゃない。」

SNSを見た友人のうち何人かから電話がかかってきた。「俺も霊感はないから心霊写真とかは分からないが、俺の本能が言う、この写真はやばい。見てから寒気が止まらないんだ。悪い事は言わないからすぐに消しなさい。」

余りにその類の連絡が多いので私も流石におかしいなと思い、家に帰ってすぐに投稿したSNSを確認した。そこには驚く変化があった。

――顔が増えている。

心霊写真に写った顔が、撮った時よりも明らかに増えているのだ。

――え、どういう事?

元データの写真を確認しても、やっぱり増えている。

――なんで、どうして。

と、その時だ。

――パシン! パシン!

何かを叩くような、乾いた音が部屋中に鳴り響いた。

――パシン! パシン! パシン!

音の間隔はどんどん早くなっていく。

「誰!?」

私は叫んだ。写真に写っている何者かである事はきっと間違いない。

――チリンチリンチリン!

今度は鈴が鳴るような音が聞こえた。音は足元から聞こえた。
目を落とすと、光の発光体から人間の足がニュッと生えたような物体が、チリンチリン!と足音を立てて走っているではないか。そして私は、そのまま気を失った――。

 

朝になり、私は目を覚ました。

光の発光体は消え、ラップ音もしなかった。
写真は、元データもSNSにアップしたものも全て消した。
あれらは一体、何だったのだろう。今手元に残るものは何もない。残るのは、自分の記憶だけだ。

そして荒川沖の廃墟は忘却の彼方へ、いつの間にか解体されていた。

 

2.廃ホテルで聞こえた謎の足音

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とある寂れた温泉街に、巨大な廃ホテルがあった。
嘗てはピンクコンパニオン達が夜には集い大層盛り上がったらしく、最上階はなんとソープランドを運営していたというとんでもないホテルだったらしい。

出掛けのついでに何気なく立ち寄り、軽く写真を撮ってみる事にした。
ホテルの構造と崩壊具合から、1階から入るのは難しかったので2階の壊れたドアから内部侵入を試みた。

ホテル内へ足を踏み入れると、そこが異様な空気に包まれているのが嫌でも分かった。取り囲むような無数の視線を、痛い程ビシビシ感じる。

――うわー……いるなこれ。

こういう趣味をやっていると、嫌でもこの手の感覚を覚える人は、私以外でもかなり多い。

だが、構っている暇はない。
この手のものに構ったり怯んだりすると、ロクでもない事しか起こらない。残念な程散々学んできてしまった。

ざわ……ざわざわ……

擬音のような、複数の人間の話し声のような音が取り囲む。
が、彼らはどうやら、その場から動けないらしい。
私が3、4、5、6…と階段を上っていくと、その気配もどんどん薄れ消えていった。
廃ホテル自体はこれといって珍しいわけでもない在り来りな構造で、残留物も残されていなかった。ただ、最上階がソープランドだったのはどうやら本当だったらしく、各風呂にスケベ椅子が配置されていた。

――まぁ、でもこんなもんか。

私は来た道を戻る事にした。

しかし、1階1階降る度、異様な瘴気が色濃くなっていく事に気が付いた。

――あ……これは。

さっきの奴らが、私を待っているんだ。
頭が揺さぶられるような騒めき、背筋を走り抜ける寒気、じんわりとした緊張感の中滲む汗。

――降りたくない、でも、降りなくてはならない。

2階迄戻り、長い廊下をまっすぐ進めば元の出口だ。
心なしか、来た時よりも道のりが長いように感じる。

ざわ……ざわざわ……

――ああ、まただ。

彼らは、2階に戻ってきた私を取り囲んでいる。

(でも、気が付かないフリを。平常心を保て。歩くスピードもそのままで、何気なく、何事もない素振りで出て行くんだ)

一歩一歩、普段の足取りで出口へ向かう。
その間、彼らはずっと私を取り囲み見つめている。
出口まであと10メートル、その時だった。

ザザザザザザザ!!

風を切るような音が聴こえた。

トタタタタタタタ!!

足早な音が聴こえてくる。

――来た!

それでも私は平然を装った。じゃないと、きっとやばい事になる。戻れなくなるかもしれない。絶対に振り返るな、あとちょっとだから。
最後の10メートルが、延々続く悪夢のような長い長い時間に感じた――。

外の世界は別世界だった。
噎せ返る程濃い緑の匂い。肌にまとわりつく湿気。ジリジリ鳴き回るアブラゼミの聲。

――ああ……外だ、外の世界だ。

木々の間から漏れる木漏れ日が優しい。
数歩歩み出て、廃ホテルを背面に振り返る。
あの中には、瘴気が蠢いている。

彼らはこの先も、未来永劫かはたまた廃墟が消えるまでか、次の獲物を待ち続けるのだろうか。

※このストーリーはフィクションです。実際に廃墟へ無断で立ち入る行為等について推奨するものではありません。

ライター :星野 藍

星野

グラフィック&UIデザイナー、写真家、書道家。福島県福島市出身。従姉の死、軍艦島へ渡った事をきっかけに廃墟を被写体とし撮影を始める。
2016年『チェルノブイリ/福島 ~福島出身の廃墟写真家が鎮魂の旅に出た~』(八画文化会館)上梓。廃墟の他怪しい場所やスラム街、未承認国家にソビエト連邦など、好奇心の侭に国内外を縦横無尽に徘徊する。

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