「仕事は楽しくないと意味がない」「誰でもできる仕事はしたくない」と吹聴するクリエイター諸君よ、キミは本当に「仕事が楽しい」のか?

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とりあえずは、昨今ネット上で論議をかもしているらしい、このツイートを読んでいただきたい。

自分がド底辺仕事ばかりやってたからか、クリエイターが言う「仕事は楽しくないと意味ない」とか「誰でもできる仕事はしたくない」的な考えが、本当イヤだ。やりたくもない仕事を何十年も黙々とこなして家族養っているオッサンとかオバちゃんのほうが、クリエイターよりよっぽどおもしろい話してくれるよ

こんな台詞を本気で語るくりえいたーが、実際はたして存在するのか、ゴメス的には疑わしいものだが(笑)、もし実在するならば──それはけっこう看過できない問題だと私は考える……ので、今日はいつになく声を大にして、あれこれと物申してみたい。

経理や総務の仕事も、れっきとしたクリエイター! 

出典:shutterstock

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まずは前出ツイートの投稿者に、こう問いたい! キミが言うところのクリエイターとは一体なんぞや……と。

おそらく、キミは洋服をつくっているヒトだとか音楽をやっているヒトだとか映像やウェブコンテンツの制作に就いているヒトだとか絵や小説を描いたり書いたりしているヒトだとかユーチューバーだとか、そういうヒトたちを想定しているのだろう。でも、私に言わせれば「カタチに残るモノづくり」、すなわち「クリエイト」の直訳の一つである「人知により、なにかを生み出す作業」に携わっているヒト──それが仮に竹細工の籠職人であってもパン工場の深夜バイトであっても、極論「他の社員が働きやすい環境を生み出す」と言う意味では経理や総務ほかの事務職であっても、彼ら彼女らは皆、れっきとした「クリエイター」だと考える。

1年ほど前、私は某包丁製作工場の見学に岐阜県の関市まで足を運んだことがあるのだけれど、そこで包丁づくりに没入する職人さんたちは、ひとり一人がクリエイターとしての自覚とプライドを持ち、日々“究極の包丁”を“生み出す”ための精進に励んでいた……ように見えた。

どうか、偏った視野で狭義に「クリエイター」のカテゴリーを括ることによって、クリエイターを“逆差別”せず、あなたが就いている今の仕事にクリエイティブな部分を見いだし、それをプライドとして、胸を張って生きてもらいたい。

 

「好きな仕事」はそう簡単に見つからない? だが「嫌いじゃない仕事」なら出会える可能性も高くなる

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次に、「仕事は楽しくないと意味ない」とか「誰でもできる仕事はしたくない」なんて不用心な発言を平気で口にできる(くりえいたーが実在するならば、その)クリエイター諸君よ! キミらが「少しでも現状の仕事に楽しく取り組みたい」「いずれは自分にしかできないスキルを身につけたい」と、みずからを奮い立たせるためにそう公言しているならまだいい。しかし、淀みなく「オレ(アタシ)の仕事サイコー!」「オレ(アタシ)って、オレ(アタシ)にしかできないことやってる」……と思い込んでいるならば、そんなキミはまだまだアマチュアだ。

真のモノづくりのプロフェッショナル(=クリエイター)とは「楽しい・楽しくない」といった次元を超えたところでルーティン的にモノをつくる。たとえば、EXILEは彼らの仕事を「楽しい」と明文化してやっているのだろうか? 私はそういう話をザイル本人たちとしたことがないので、あくまで想像の範囲内でしかないのだけれど、たぶん彼らは自分たちが理想とする音楽・パフォーマンスを常に追求しつつも、そのズレとの葛藤に悩んでは、ビジネスとしての損益分岐点と折り合いを付けつつ、むしろ「しんどさ」を感じながら、眼前にある片付けねばならない“仕事”を淡々とこなしてる“だけ”──とまでは言わないが、そういった側面は間違いなく抱えているのではなかろうか?

私だって、あんなに大好きだった「絵を描くこと」や「ドラムを叩くこと」や「文章を書くこと」を“仕事”にしてしまった、正確な表現をすれば「〆切りが設定されてしまった」時点で、それらすべては“苦行”と化してしまった。もう20年以上、原稿を書いていて「楽しい」と思ったことは一度もない。

なのに、あと数年で還暦を迎えるこの年まで、紛いなりにも文筆業を続けることができたのは、執筆が現状では一番金を稼げる手段だから。そして、執筆が「好きだから」では決してなく、「嫌いじゃない」から……にほかならないのだ。

ライター : 山田 ゴメス

1962年大阪生まれ B型 関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、偏った幅広さを持ち味としながら、阪神タイガースと草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するライター&イラストレーター。『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』ほか、著書は覆面のものを含めると30冊を越える。

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